ムークなど‘新たな’高等教育に対する質保証への挑戦

原典:CHEA(英語)
政策提言書:Quality Assurance and Alternative Higher Education: A Policy Perspective(英語)

全米アクレディテーション協議会(CHEA)とPresidents’ Forumが共同で設置した代替高等教育と質保証に関する委員会(Commission on Quality Assurance and Alternative Higher Education)は、従来とは違う形で高等教育を提供するプロバイダに対する質の保証に関する政策提言書を発表した。

提言書では、従来とは違う形で高等教育を提供する正規外教育提供者に対する、第三者による独立した任意の質評価の必要性を訴えている。そして、この評価を行う際に求められる14の視点(下記参照)を挙げるとともに、より広範な関係者との議論を行うためのテーマも提議している。

正規外教育提供者とは、従来の大学やカレッジ以外で講座、課程、バッジなどを提供する者を指し、現在その数が増えている。その背景には、労働者に求められるスキルの開発の必要性と、高騰する授業料がもたらす学位の費用対効果の減少がある、と同委員会は指摘している。

代替高等教育と質保証委員会は、Stephen Joel Trachtenbergジョージワシントン大学名誉教授とAnn Rondeau元国家防衛大学長が共同議長を務め、総勢26名の委員で構成されている。2013年10月の発足以来、高等教育で広がりつつある代替的な学習形態に対して、従来制度を上手に活用した質保証を模索するため議論を行っている。

正規外教育提供者の質保証のための14の視点

  1. 機関の正当性(法人格、所有者など)
  2. 学生の学習の裏付けとその収集方法
  3. 機関として効果的なパフォーマンスを行っている裏付け
  4. 連絡先の開示状況
  5. 提供するサービスの財務健全性と持続可能性
  6. 学生と当該機関の関係および連絡手段
  7. 実際に公共利用が可能なオンライン上の提供
  8. 内容や手段に関して、正当な資格を有する開発者による教材作成
  9. 常識的に実現可能で、明確な講座の要求量
  10. 学生の学習進度の計測と、成果の記録および保管
  11. 講座修了の証明手段
  12. 授業料やその他の費用
  13. 宣伝内容の正確性
  14. 機関が受審している独立した第三者質評価

解説

米国では、高等教育レベルの教育を提供する非高等教育機関(正規外教育提供者)が増えてきている。教育は主にオンライン上で行われ、提供者としては、ムークのような無料のプラットフォームのほか、安価な教育講座やオンラインバッジを提供する一般企業などが該当する。2013年2月には、ムークの1つであるCourseraで提供されている5つの講座が、学士または職業資格レベルの教育であると米国教育協議会(ACE)が認定が認定した。この決定は、正規外の教育が学位や資格取得のための単位として認められる可能性がでてきた点で重要なものである。こうした背景の中、正規外教育提供者を任意で審査することで、教育の質を担保しようという動きが米国高等教育界において見られ、今回の政策提言も関連する事項として注目される。

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