英国の高等教育委員会が学生データ等の有効活用に関する提言を発表

出典①:Higher education commission①(英語)
出典②:Higher education commission②(英語)

英国の産業界・教育界・政界のリーダーから構成される高等教育委員会(HEC : Higher Education Commission)は、2016年1月22日に調査報告書「FROM BRICKS TO CLICKS」(全70ページ)を公表した。

当報告書は、近年デジタル化がますます進展する中、高等教育機関がその教育・研究における学生の学習成果やその質の向上のため、学生から得たデータをいかに活用するべきかについて、提言をまとめたものである。

<主な提言>

    • 英国高等教育統計機関(HESA)、英国情報システム合同委員会(JISC) 及び英国大学協会(UniversityUK)の3機関は共同で、高等教育機関間の情報共有・連携を支援するための戦略を作るべきである。
    • HESAは、データ収集のプロセスの合理化に関して責任を持つべきである。
    • 全ての高等教育機関は、学生支援の質や学生の学習成果を向上させるために、学生データ※1を収集し、学生の学習状況を適切に分析する学習分析システム(Learning Analytics System)※2の導入を検討するべきである。
    • 高等教育機関は、学生データの使用・管理のための明白な倫理規則や規範を置くべきである。少なくとも、学生のプライバシーの保護、データの流出防止、データ使用における学生への同意確認について配慮すべきである。
    • 学習の分析を行う際、高等教育機関は学生にその個人・学習データを分析に利用する旨、インフォームド・コンセントを行うべきである。新しいデータを学習分析システムに入れたり、既存のデータを新システムに利用する場合も同様である。
    • 学習分析を通じて、学習や教授プロセスの向上や、学生参画に導くべきである。現在、学習分析は未発達な段階にあるため、学習成果を把握していく上で、積み上げるのではなく形作る目的で利用することを推奨する。
    • 大学の教職員は、デジタル社会においてその役割を担うのに必要な能力を培わねばならない。ゆえに、教職員にはデジタル技術及びデータ管理能力の向上を支援するための訓練が提供されるべきである。
    • 高等教育機関は、学習分析で得た情報を優れた教育を特定し、促すために使用すること、またこの情報を卓越性枠組(TEF)の提出に利用することを推奨される。

なお、高等教育委員会は2016年1月26日に、当報告書を議会に提出した。

※1 本報告書の一例では、例えば、学生が大学構内の建物に入る際、カードキーを通すことが必要だとした場合、そのカードのデーターを調べることにより、どの建物がどの程度学生に利用されているか、また、一日のどの時間帯に多く利用されるかなど、様々な情報を得ることが可能となる。そのようにして得たデータを分析し、学生の学習成果の向上等のため、教育活動の改善に用いている。

※2 本報告書の一例として、Nottingham trent universityでは、学生の留年を事前に防ぐ目的で、学生の学業への参画状況を、登校頻度、図書館の利用状況、個別指導の受講状況、教育学習支援情報システム(VLE:Virtual Learning Environments)の使用状況の4項目の学生データに基づくモニタリングを実施し、連続して2週間以上、学生がいずれの4項目にも関与が見られなかった場合、その学生のチューターに連絡が行くといった学習分析システムを開発。一定の成果をあげていることが報告されている。

 

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