OECD:見習い制度の有益性について有識者の見解を紹介

マイクロソフトやネスレなどの世界的企業も参加する見習い制度※1を推進する団体(GAN:Global Apprenticeship Network)の創設者で事務局長のShea Gopaul氏へのインタビューを経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)が紹介した。このインタビューは2018年5月にパリで開催されたOECDフォーラムの機会に行われた。

インタビューでは、人工知能、機械学習※2、その他先端技術によって、雇用者が労働者に求める職業能力が変化すると同時に、今日若者のキャリア・パスの不透明感が増していることについて、Gopaul氏が意見を求められた。同氏によると、見習い制度は雇用者側と被雇用者側に生じるスキルに関するギャップを埋めることができ、新卒者やそれ以外にとっても自身のスキルを変化が著しい労働市場に対応させることが可能であることから、企業と労働者の双方にとって有益なものであるとしている。

一方で、同氏は見習い制度導入に対する障壁も指摘している。そのひとつは、学生の親が就職や職業訓練よりも一般の大学進学を優先する場合である。これは、見習い制度が成功しているスイス、ドイツ、オーストリアでも起きている。また、見習い制度やインターンシップは、安価な労働力の供給源として悪用されることもあり、これを防止するために雇用側に課す法規制が複雑かつ厳格であることから、雇用側が見習い制度の導入をためらうこともある。

ただし、米国では、見習い制度は雇用側にとり1ドルの投下コスト対して1.47ドルの利益があるとしている。なお、米国のトランプ大統領は、2017年6月15日に見習い制度の拡大を指示する大統領令を発している。これについてコンピュータ関連大手企業のIBMは、見習い制度などの21世紀的スキルの訓練プログラムの利用拡大は同社にとっても極めて重要だとして、当該大統領令を歓迎するとの表明を行っており、関連する産業界からの関心の高さが伺える。

我が国においては、2018年9月18日に開催された中央教育審議会大学分科会の将来構想制度部会における制度・教育改革ワーキンググループの第19回会合において、産学官の連携および高等教育における実践的な学びの在り方について議論がなされた。また、実践的な職業教育を行う機関として、「大学のうち、深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を展開させることを目的とする新たな高等教育機関」として、「専門職大学」を開設する制度が2017年5月に創設され、2019年度に1校が開校する見込みとなっている。

なお、英国や欧州における取組みについては、それぞれ本サイト投稿記事(2017年4月5付け「英:見習い学位の活用が拡大傾向」、同7月25日付け「欧州の見習い制度のための連帯(EAfA)の取組状況」)を併せて参照ください。

※1見習い制度(apprenticeship)・・・労働市場の需要に合った人材を育成することを目的として、一般的に、教育機関での学習と企業での実務訓練を両立させる制度。デュアルシステムとも呼ばれる。
※2機械学習(machine learning)・・・・人工知能に関わる分析技術。データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術。

原典①(OECDウェブサイト(英語))
原典②(米国ホワイトハウスウェブサイト(英語))
原典③(IBMウェブサイト(英語))
原典④(文部科学省ウェブサイト:その1
原典⑤(文部科学省ウェブサイト:その2

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