近年、学生や教員、教育プログラムの国際的な活動が活発化し、高等教育のグローバル化が進展するなか、諸外国の高等教育関係の団体や国際機関等では、高等教育機関の「国際化」に関する評価や質保証、質改善のアプローチが採られています。このページでは、そのようなアプローチに焦点を当て海外の取組事例を紹介します。
■最新の更新箇所
ISAS(国際化戦略アドバイザリーサービス2.0)
(2016年-)【2021年6月14日更新】
【国際化評価・サービス】
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IAU | ISAS(国際化戦略アドバイザリーサービス2.0)(2016年-) |
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HRK | 大学の国際化オーディット(2009年-) |
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韓国 | IEQAS(教育国際化力量認証制)(2011年-) |
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ECA | CeQuInt(国際化に関する欧州サーティフィケートプロジェクト)(2012-2015年) |
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ACE | 国際化ラボラトリー・プロジェクト(2003年-) |
【参照ツール・プロジェクト】
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EUA | FRINDOC(博士課程教育の国際化のための枠組み形成プロジェクト)(2012-2015年) |
【国際化評価・サービス】
ISAS(国際化戦略アドバイザリーサービス2.0) |
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正式名称 | Internationalization Strategy Advisory Service 2.0 (ISAS (2.0)) |
実施主体 | 国際大学協会(IAU) |
実施年 | ISAS (2010-2016年)、ISAS (2.0)(2016年-) |
概略 |
国際大学協会(IAU: International Association of Universities)※が2016年から行う、高等教育機関の国際化戦略の分析と明確化を通して、専門家のアドバイス・最新情報提供・カスタマイズ戦略の提案を行うサービスであり、2010年から2016年まで行われていたISASに代わって立ち上げられたもの。
高等教育機関を対象とした国際化戦略のアドバイスに関しては、4つのサービスに分類され、「計画と戦略」、「戦略の審査と達成度の測定」、「特定の分野における国際化」、「包括的な国際化の達成」がある。それぞれの期間は6~12か月間であり、無事に完了すると「IAU internationalization learning badge」が授与される。 【サービス利用機関数】 ISAS (2.0)(2016年~現在):5か国、7機関 [ISAS (2.0)サービスの分類ごとの利用機関数]
また、高等教育機関及び高等教育における個人を対象としたサービスに関しては、高等教育機関の職員向けに、高等教育の国際化戦略の策定や測定に必要な知識、スキルを身に付けるためのワークショップやウェビナーを開催している。 2021年3月には、ISAS及びISAS(2.0)サービス利用機関を対象としたインパクト調査を実施し、報告書が刊行された。(→ 報告書概要は下記「参考資料」参照) ※国際大学協会(IAU):1950年に設立された、ユネスコを母体とする、世界的な高等教育機関の協会。事務局はパリのユネスコハウス。 |
原典リンク | https://www.iau-aiu.net/Internationalization |
参考 |
「ISAS IMPACT EVALUATION SURVEY 2020 REPORT」(2021年3月) 【調査領域】 各領域について、アンケート集計結果やインタビュー結果の概要がまとめられている。例えば、①において「ISASサービスが自機関の国際化の進展に寄与したか」の問いに対し、回答機関の25%が「顕著に進展」、67%が「適度に進展」との回答が紹介されている。 |
![]() 大学の国際化オーディット |
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正式名称 | HRK-Audit “Internationalisation of Universities” |
実施主体 |
HRK(ドイツ大学学長会議:German Rectors’ Conference) |
実施年 | 2009年- |
概略 |
ドイツ大学学長会議(HRK)による国際化オーディットは、ドイツの大学が国際化の取組を戦略的に展開し、学内にそれを定着させることを支援する目的で、2009年に開始した。 受審対象は、HRKの加盟大学。HRKが毎年加盟大学に参加を募り、参加希望大学の中から大学の規模や性格を勘案してHRKがその年の受審大学を選定する。オーディットは有識者チームと大学が結成したプロジェクトグループが共同で行い、HRKはオーディット全体の調整とプロセスの監督を行う。オーディットは1回限りの受審ではなく、受審した大学に対する再オーディット(Re-Audit)の仕組みも整えられている。オーディットの実施経費は2016年末まではドイツ連邦教育研究省(BMBF)が助成し、受審大学が一部負担していた。2017年以降は完全に受審大学負担となっている。
【4つの領域】
近年では、学生数10, 000人以下の小規模大学を対象にした「コンパクト・オーディット(Audit compact)」の仕組みも導入されている。国際化オーディットの縮小版として小規模大学のニーズやコスト等を踏まえていることを特徴とし、プロセスは約9か月(訪問調査は2日間)となっている。また、さらに小規模な大学を対象としたオーディット・戦略ワークショップ(Audit strategy workshop)も実施されている。
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原典リンク | |
参考資料 | >>大学の国際化オーディットの概要は、「諸外国の高等教育分野における質保証システムの概要:ドイツ」(NIAD-UE/2014年12月)にも掲載していますので、ご覧ください。 |
![]() IEQAS(教育国際化力量認証制) |
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正式名称 | International Education Quality Assurance System (IEQAS) |
実施主体 | 韓国教育部 |
実施年 | 第1周期(2011~2015年) 第2周期(2016~2019年) 第3周期(2020~2023年) |
概略 |
IEQASは、韓国国内の大学(universities)、専門大学(junior colleges)の専攻深化課程(Advanced Major Courses)、大学院大学のうち申請大学を対象に、留学生の受入れ体制や実態を評価し、適切な管理を実現している教育機関を認証する制度である。本制度への申請は任意である。評価項目には、不法滞在率(必須項目)、国際化戦略やインフラの整備状況、留学生又は語学研修生の支援・管理状況、中途退学率などがある。なお、大学基本能力診断評価の結果により政府による財政支援の制限を受けている場合、大学機関別評価認証を受審していないか「不認証」と判定されている場合、または留学生数が一定の基準より下回る場合はIEQASへの申請が制限される。 ●IEQAS設立の背景 ●評価項目と評価基準 評価基準 評価基準 評価実績(2020年12月現在) |
原典リンク |
教育部公告(第3周期の取組について) |
![]() CeQuInt(国際化に関する欧州サーティフィケートプロジェクト) |
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正式名称 | Certificate for the Quality of Internationalisation (CeQuInt) |
実施主体 | ECA(European Consortium for Accreditation in higher education) |
実施年 |
事前プロジェクト(2012-2015年) |
概略 |
プログラムレベルまたは機関レベルにおいて、国際化を評価、向上、表彰するサービス。優良と認められたプログラム/機関には、「ECA Certificate for Quality in Internationalisation」が授与される。このサーティフィケートは、プログラム/機関がその教育の目的、機能及び提供において、国際化や複数の文化の視点を組み込んでいることを証明する。 ※ECAメンバーは17の質保証機関だが、本サービスにはこのうち9つの機関が参加している。 【評価プロセス】 ※詳細はこちら。 【評価基準】
基準2:International and intercultural learning(国際的かつ異文化間の学習)
基準3:Teaching and Learning(教育と学習)
基準4:Staff(職員)
基準5:(学生)
https://www.nvao.net/en/procedures/the-netherlands/special-features-general |
原典リンク |
http://ecahe.eu/home/internationalisation-platform/certification// |
![]() 国際化ラボラトリー・プロジェクト |
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正式名称 | ACE Internationalization Laboratory |
実施主体 | 米国教育協会(American Council on Education: ACE) |
実施年 | 2003年- |
概略 |
国際化ラボラトリー・プロジェクトとは、米国教育協会(ACE)が大学の国際化を支援することを目的に実施しているプロジェクトである。毎年ACEは、2か年を実施期間として有償で参加する大学を募集している。2003年のプロジェクト開始以降、160校以上の大学が参加している (2020年現在)。 【国際化ラボラトリー・プロジェクトにおける評価プロセス】 【国際化ツールキット】
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原典リンク |
【国際化ラボラトリー・プロジェクトについて】 【国際化ツールキットについて】 |
【参照ツール・プロジェクト】
![]() FRINDOC(博士課程教育の国際化のための枠組み形成プロジェクト) |
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正式名称 | Framework for the Internationalisation of Doctoral Education (FRINDOC) |
実施主体 |
EUA(欧州大学協会)をコーディネーターとする5つの大学のコンソーシアム。参加した5大学は、香港大学、ステレンボス大学(南ア共和国)、インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)、ベルゲン大学(ノルウェー)、カメリーノ大学(イタリア)。(欧州委員会のエラスムス・ムンドゥスプログラムが助成) |
実施年 | 2012-2015年 |
概略 |
こうした背景を踏まえ、FRINDOCプロジェクトは、博士課程教育の国際化に関する優良事例集とオンライン自己評価ツールを整備し、戦略を企画・実行する大学を後押しする枠組みづくりを目指す。
<自己評価の対象となる4領域> B. International Profile(国際性) C. Institutional Framework(組織力) D. Mobility(流動性) 各領域に、「現状」と「目標」を問う質問がそれぞれ設けられている。回答者は、各設問について0(poor)~5(excellent)のいずれかの評点を付し、コメントを入力。最後に、各領域の評点をレーダーチャートで表したレポートが生成される。なお、FRINDOC ToolはEUAウェブサイトで無料閲覧が可能(メールアドレスの登録が必要)。 |
原典リンク |