韓国教育部は、2025年度奨学金支援対象大学及び制限対象大学を公表した。今回の選定にあたっては、2023年まで実施されていた「財政支援制限大学評価」に代わり、「大学の一般財政支援の評価制度改革案」に基づき新たな評価体系で選定が行われ、303大学が支援の対象となった。
【背景①】大学基本能力診断評価と財政支援制限大学評価
これまで政府から大学への財政支援(補助事業及び奨学金支援)の対象となる大学の選定には「大学基本能力診断評価」及び「財政支援制限大学評価」の評価結果が活用されていた。「大学基本能力診断評価」は教育部の「大学/専門大学革新支援事業」の補助対象大学(いわゆる一般財政支援大学)を選定するための評価で、2015年、2018年、2021年に実施された。一方、「財政支援制限大学評価」は、国家奨学金・貸与型奨学金を新入生・在学生が申請することのできる大学と申請を制限する大学を選定するための評価で、2023年(2024年度適用分)まで毎年実施された。これらの二つの評価は、共に教育部の実施する評価であり、用いられる評価指標の多くが共通していたり、大学基本能力診断評価の実施に際しては、当該年の財政支援制限大学評価で財政支援制限大学に指定された大学は、大学基本能力診断評価に参加できなかったりと、一連の評価体系として実施されていた(参考:本サイト2022/7/25投稿記事、本サイト2021/11/1投稿記事)。
【背景②】新たな評価体系
2023年3月、教育部は大学の自律的発展を支援するため、「大学の一般財政支援の評価制度改革案」を策定した。 これにより、大学基本能力診断評価と財政支援制限大学評価が廃止され、2025年度適用分からは、韓国大学教育協議会(KCUE)及び韓国専門大学教育協議会(KCCE)が実施する(大学/専門大学)機関別評価認証で認証されていること※1、また私立の大学/専門大学についてはこれに加えて韓国私学振興財団が私立大学/専門大学に対し実施する財政診断において「経営危機大学」に指定されていないこと(財政健全大学として認定されること)をもって財政支援がされることになった(参考:本サイト2023/2/27投稿記事)。※1 2022年12月16日付教育部プレスリリースによれば、財政支援のための機関別評価認証における条件は「認証」であったが、本記事の出典である2024年12月12日付教育部プレスリリースによれば「条件付き認証」、「認証保留」の場合も支援の対象とされている(下表「評価結果と奨学金支援可否の関係」の通り)。
なお、今回の教育部の発表では、機関別評価認証(KCUE/KCCE実施)及び財政診断(韓国私学振興財団実施)の結果、(新入生、在学生が)奨学金の申請が可能となる大学が発表されており、「大学/専門大学革新支援事業」の補助対象大学(一般財政支援大学)については言及がなかった。同事業のウェブサイトにおいても第2周期(2021年の大学基本能力診断評価の結果に基づく2022年から2024年までの支給分)までの記載しかなく、2025年以降の情報の更新は見られない。
評価結果
対象となる全313大学のうち、303大学が国家奨学金・貸与型奨学金の支援対象となり、10大学が支援不可(うち1大学は貸与型奨学金(一般償還型)のみ支援可能)となった。この措置は、2025年度から1年間適用される。機関別評価認証、財政診断それぞれの評価の結果は以下の通り。機関別評価認証(KCUE・KCCE):2024年度下半期に実施された機関別評価認証の時点で、対象となる313大学※2※3のうち、286大学が「認証※4」(2025年においても有効)を受けており、18大学が「認証保留」、 2大学が「不認証」の状態であった※5。
※2 機関別評価認証は任意参加の評価であるため、同評価に参加していない大学はこの数に含まれない。
※3 対象313大学のうち、7大学は宗教指導者養成大学のため奨学金支援対象となった。
※4 条件付き認証も含まれる。
※5 出所は教育部プレスリリース(下記原典参照)。一方、KCUEが2024年12月13日に公表した2024年下半期実施の機関別評価認証結果によれば3大学が不認証とされており(参考:KCUE)、不認証校数が一致していない。詳細については現在調査中。
財政診断(私学振興財団):私立大学(大学、産業大学、専門大学)280校を対象に2024年に財政診断を行った結果、財政健全大学が266校、経営危機大学と指定された大学が14校あった。なお経営危機大学に指定された14校のうち、4大学は「自発的構造改善履行計画※6」の実施を通して奨学金支援可能とされた。
※6 自発的構造改善履行計画制度は新たな評価体系の初年度である2024年評価のみ適用。
表:評価結果と奨学金支援可否の関係
原典:教育部(韓国語)
