2021年9月3日、韓国教育部と韓国教育開発院は2021年大学基本能力診断評価の最終結果を公表した。評価対象となった一般大学161校、専門大学124校のうち、一般大学136校、専門大学97校が一般財政支援を含む所定の財政支援が受けられる大学に選定された。これらの大学は今後、2022年実施予定の定員充足率点検やその結果に応じた定員削減勧告に対応しつつ、政府による財政支援が維持されるよう取り組んでいくこととなる。一方、所定の財政支援のうち一般財政支援が制限される一般大学・専門大学は計52校となった。
大学基本能力診断評価について
大学基本能力診断評価は、韓国における急激な学齢人口の減少に備え、大学の量的規模の縮小を目的としている。具体的には、2015年から2023年までを3年ごとの周期に分け、全ての大学を対象に、大学の発展計画の成果等に関する評価を実施し、評価の結果によって最も優秀な大学グループには財政支援を行い、それ以外の大学には政府主導の財政支援事業への参加を制限したり、定員削減を勧告するなどの措置を取ることによって、大学の定員を合計16万人削減する取組である。なお、大学教育の質確保や継続的な質向上を趣旨として韓国大学教育協議会(KCUE)が実施する大学機関別評価認証とは別の枠組みで行われている。2021年大学基本能力診断評価の便覧(実施要項)については本サイト2020年3月5日掲載記事を参照のこと。2021年評価の最終結果
3周期目となる2021年の評価では、本評価(2021年大学基本能力診断評価)に先立ち、2021年3月に18校(一般大学9校、専門大学9校)が「財政支援制限大学」に別途評価により指定された。これらの大学は本評価に参加できず、「一般財政支援」、「特殊目的財政支援」及び「国家奨学金・貸与型奨学金」のいずれの財政支援措置も制限されることとなった。次いで本評価は、財政支援制限大学と本評価に参加が可能だがその意思のない一般大学16校(「未参与大学」)を除いた285校(一般大学161校、専門大学124校)を対象に行われた。評価の結果、一般財政支援大学(下表中の「選定大学」)に指定された233校(一般大学136校、専門大学97校)は、政府主導の一般財政支援(大学の革新支援事業(※1)の採択を指す)を2022年から2024年まで受けることができる。支援額は大学の場合1校当たり年平均48億ウォン(約4.8億円)、専門大学の場合37億ウォン(約3.7億円)となる予定である(※2)。 2021年評価の結果及び評価結果に応じた政府からの財政支援措置は下表のとおりである。なお、「選定大学」についても、2022年実施予定の定員充足率点検やその結果に応じた定員削減勧告に応じない場合、財政支援が中断される可能性もあり、引き続き大学構造改革に対応していく必要がある。
※2 各校の予算額については、まず全体の予算を5つの圏域別に配分したうえで、各圏域内の大学ごとに学生規模等を踏まえて配分される。
※3 「研究支援(BK21プラス)」、「産学協力(LINCプラス)」等大学の戦略的な特性化の推進を目的に実施される補助事業。
※4 国の実施する特殊目的事業への申請は制限を受けるが、自治体の実施するものについては自治体の判断による。
異議申し立てとその結果
本評価の最終結果の公表に先立ち、2021年8月17日に結果案が公表され、その後大学からの異議申し立ておよびそれに対する審議が行われた。財政支援のうち一般財政支援の制限を受ける「未選定大学」とされた52校中実に47校から異議申し立て申請があったが、これらはすべて棄却され、原案通り評価結果が確定した。これについて、教育部は、「異議申し立てに対しては3段階の委員会を経るなど綿密な検討の末結論を出した」と主張するが、大学側からは「異議申し立てに際して、大学側に十分な説明機会が与えられず、異議申し立て制度は形式的に過ぎなかった」など反発する声が聞かれた。また、韓国大学教育協議会(KCUE)も結果案の公表時に声明を出し、「今回の評価は、大学間の競争を触発し、報告書の優劣によって生じたわずかな差によって国費支援に制限をかけており、これまで教育部が維持してきた方針と一貫性を欠く」など厳しい姿勢を表明している。
原典①:教育部(韓国語)
原典②:教育部(韓国語)
原典③:韓国大学新聞(韓国語)
原典④:韓国大学新聞(韓国語)
原典⑤:韓国大学教育協議会(韓国語)