高等教育の修了率など欧州28か国における教育分野の現状を公開―Education and Training Monitor 2016

原典:欧州委員会(英語)

2016年11月、欧州委員会は高等教育の修了率など欧州28か国における教育分野の現状をまとめた報告書「Education and Training Monitor 2016」を公開した。同報告書は毎年発行されており、今年で5回目の発行となる。
同報告書では、初等教育から成人教育に至るまで、あらゆる段階の教育の状況について、欧州の目標(ET2020)と照らして2015年時点の目標の達成状況を示している。また、各国の教育について、全体的な状況や政府の取組みもまとめている。

2020年に向けた高等教育分野に関するEUの主な目標

  • 30-34歳の高等教育の修了率(attainment)を40%以上に引き上げる(2015年現在は38.7%)。
  • 卒業生の雇用率を82%に引き上げる(2015年現在は76.9%)。
  • 海外での高等教育や職業訓練の経験を有する高等教育修了者を少なくとも20%以上にする。

高等教育の修了状況

  • 2005-2015年の間で、30-34歳の高等教育の修了率は10.6%ほど上昇した。2015年の高等教育の修了率は38.7%(2014年度比で0.8%上昇)。しかし資格のレベルは男女差や出生国の違い(国内か国外か)で大いにばらつきがある。
    • 修了率50%以上の国:リトアニア、キプロス、ルクセンブルク、アイルランド、スウェーデン。
    • 修了率40%以上:ベルギー、デンマーク、エストニア、フランス、オランダ、フィンランド、英国。
    • 修了率20%以上~EU平均38.7%:ブルガリア、ドイツ、ギリシャ、ポーランド、スロベニア、オーストリア。
    • 修了率20%未満:チェコ、クロアチア、イタリア、ラトビア、ハンガリー、マルタ、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア。
  • 30-34歳に限定してみると、最終学位として学士号取得者よりも修士号取得者が多くなっている国は、イタリア、ルーマニア、スロバキア、チェコ、クロアチア、ポルトガル、ブルガリア、オーストリア、スぺイン、フランス、ポーランド、スロべニア、ルクセンブルクである。
  • 一方、最終学位の取得が学士号にとどまることが一般的である国は、オランダ、フィンランド、デンマーク、英国、キプロス、スウェーデン、アイルランド、ギリシャ、マルタ、ドイツ、ハンガリー、ベルギー、リトアニア、ラトビア、エストニアである。
  • 30-34歳で、短期高等教育の学位の保有率が各国の国民が保有する学位の中で最も多く占めている国は、スペイン、フランス、英国、アイルランド、キプロスでどの国もおおよそ10%以上である。
  • 平均して、女性の方が男性よりも学位の取得率が高い。短期高等教育段階の学位(女性:男性=7%:8%)、学士(女性:男性=15.5%:12.4%)、修士(女性:男性=20%:14.9%)となっている。なお、この傾向はほとんど全てのEU加盟国についても当てはまる。

高等教育の政策面

  • 2015年において、25-44歳人口の学位取得者の失業率は、25-44歳の平均失業率よりも低い(イタリアとポルトガルの学士号取得者の事例を除く)。
  • 修士号の保持者は失業率が低く、ギリシャ、ポルトガル、イタリア、ポーランド、ルーマニアで顕著である。一方、ベルギー、デンマーク、ドイツ、ルクセンブルク、フィンランド、英国ではそのような傾向はみられない。
  • 高等教育の修了率は男性に比べ、女性の方が高い。一方、男性の取得資格が女性に比べて低いにもかかわらず、就職率は男性の方が女性に比べ高い。
  • 現在の経済が求める技能に高等教育を調和させる必要性が高まっており、2016年の欧州の勧告の中でも強調されている。

高等教育の国際化とモビリティ

  • 学士課程で5%以上、修士課程で11.5%、博士課程で18.5%が留学を経験している。博士課程の国際化の進展度合いは、国や機関ごとで大きく異なる。

「高等教育の修了率」には、学士課程や修士課程に加え、博士課程や2年間の高等教育である短期高等教育(short-cycle tertiary education)も含まれる。

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