出典①:DeakinDigital
出典②:Campus Technology
オーストラリアのDeakin大学が100%出資するDeakinDigitalは、決められた16のデジタルバッジをすべて集めると学位が取得できるプログラムの開発を進めている。Pathway Programと名付けられたこの課程は、あらかじめ定められている16のデジタルバッジ(下記参照)を3-5年以内に獲得すると、Deakin大学の修士の学位Master of Professional Practice (Information Technology)が授与される。デジタルバッジの取得は、推奨される順序はあるものの、何から始めてもよい。学位課程の正式な開講は2016年だが、すでに7つのバッジの取得が可能となっている。
DeakingDigitalは、社会人に対して既修得学習の認定をするサービス(credentialing)を行っている。この認定サービスは、Deaking大学の卒業生学習成果(GLO: Graduate Learning Outcomes)とオーストラリア資格枠組み(AQF)レベル9に準拠しており、現在8種類の修士レベルの学習認定を実施している。認定の際には審査が必要で、エビデンスの提出と1対1のビデオ面談が行われる。現在開発が進む学位プログラムでは、既修得学習の認定を行うことで、学位取得までの期間と費用を半減することが可能になる。
デジタルバッジは世界的に広く普及しており、全米アクレディテーション協議会の報告(本サイト2014/11/13掲載記事)によると、13のバッジ提供機関によってこれまで110万個のバッジが提供されているという。また、イギリスのOpen大学が公表した10の革新的な教育・学習・成績評価手法の中でも、バッジによる学習認定が紹介されている。
DeakinDigitalでは、2015年8月に、今回の学位プログラム開発の一環としてCredlyとの提携を発表した。Credlyは、バッジなどの保有資格を一元管理し、ソーシャルメディアとも連携させるサービスの大手である。DeakinDigitalとCredlyとの提携は、バッジのような資格(credential)も学位などと並び、就職や転職時の「通貨としての役割」となることを見据えている、とDeakinDigitalのRadford社長は述べている。
このようなオンライン技術を活用した高等教育の細分化(unbundling)は、近年注目されている。特に、学び直しを希望する社会人に対しては、実際にデジタルバッジと学位を結びつけられたことで、既修得学習の認定を通じた学位取得への道がさらに拡大する可能性が出てきた。
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- 学位取得に必要なバッジの名称(推奨される取得順に記載)
- Self Management
- Collaboration
- Problem Solving
- Critical Thinking
- Innovation & Improvement
- Communication
- Emotional Awareness
- Teamwork
- Professional Ethics
- Cultural Awareness
- Global Citizenship
- Digital Literacy
- Professional Expertise Broad 1 in Information Technology
- Professional Expertise Broad 2 in Information Technology
- Professional Expertise Deep in Information Technology
- Professional Expertise in Information Technology