OECD:国境を越えた教育の質保証に対する取組状況報告

出典:OECD

経済協力開発機構(OECD)はこのたび、国境を越えた高等教育(CBHE: cross-border higher education)に対する各国の質保証の取組みをまとめた報告書を発表した。Implementing the UNESCO/OECD Guidelinesと題された報告では、OECD加盟32ヶ国と非加盟10ヶ国への調査に基き、2005年に採択された「国境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドラインの内容をどの程度遵守しているか、分析の結果が掲載されている。

2012年に続き2度目となった今回の調査でも、調査対象国が「ガイドライン」の内容を高く遵守していることが認められた。OECDの独自式に基く遵守度の計算では、加盟国の中では政府(77%)と高等教育機関(75%)が高い遵守度を示し、次いで質保証機関(63%)、学生団体(50%)という順であった。一方、「ガイドライン」で示された6つの主要目標(key objective:下記参照)においては、全体平均ですでに75%が遵守されていた。特に、規制の導入、多様なCBHE形態への対応、制度の透明化、国内外連携に関しては大部分が達成できていた。反対に、情報へのアクセスのしやすさと学生/消費者保護の2点に課題が残ることも明らかになった。

本報告書では全体的な履行状況に及第点を与えつつ、今後は各国の取組事例を掘り下げる調査の必要性を訴えている。また、「ガイドライン」の内容はCBHEの現状に即したものであり、現在のところは改定の必要はないと結論づけている。

「ガイドライン」の主要目標

  1. CBHEを各国の規制枠組みの対象とする
  2. あらゆるCBHEの形態に対して包括的に対応する
  3. 学生と消費者を保護する
  4. CBHE提供者に対して規制手順を透明にする
  5. 将来の学生に対して情報へのアクセスを整備し、発信を行う
  6. 連携を行う
「国境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドライン」
UNESCOとOECDが共同で開発した、国境を越えた教育提供に関し各ステークホルダーが取り組むべき指針。各国政府、高等教育機関・教育提供者、学生団体、質保証機関、資格評価機関、職能団体を対象としている。
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