海外居住者に対する所得連動型融資の返済を義務化へ

原典①:豪州教育訓練省(英語)
原典②:豪州教育訓練省ファクトシート(英語)
原典③:豪州職業実習支援サイト(英語)

豪州教育訓練省は11月9日、海外に居住するオーストラリア人にも、オーストラリアに居住している場合と同様に高等教育融資プログラム(HELP)※1、就業支援融資(TSL)※2への返済義務を課すことを発表した。

これまで、これらの融資制度を活用した場合、海外に居住している限り返済する義務がなかった。しかし、このたびの改正によって、居住地域にかかわらず、返済開始の最低所得基準額である54,126 豪ドル(2015-2016会計年度)以上の所得を得ている者には返済の義務が生じることとなる。政府はこれによる政府支出抑制に期待を寄せており、具体的には、2024-2025会計年度までの10年間で1.5億豪ドルの政府支出を削減できると見込んでいる。

政府はこの改正により、海外居住の高所得者に返済義務がなかった従来の制度を改め、不公平を是正するとともに、負債が累積している所得連動型融資制度であるHELP・TSLの負債を削減し、現行通り維持することで、低所得者を保護することをねらいとしている。

従って今後は、2016年1月以降、HELPまたはTSL融資の受給者で、外国に居住して6か月以上になる者または今後6か月以上滞在する予定の者は、オーストラリア国税庁に申告することが必要になる。また、2017年の7月以降、主として海外で生計を立てている者については、海外での所得とオーストラリア国内での所得を合算した額を申告する必要が生じる。なお、これらの申告はmyGovアカウント※3を通じて行われる。

このたびの海外居住者に係る融資の返済義務化について、教育訓練省、国税庁、移民・国境警備省間で情報の共有が図られる予定である。

※1HELP:Higher Education Loan Program(高等教育融資プログラム):オーストラリア国民を対象とした無利子の学費貸与制度。教育訓練省と国税庁によって所管されている。返済が所得と連動しており、所得が基準額を超過した時点で返済義務が発生し、所得から税制システムを通じて自動的に控除される。

※2TSL:Trade Support Loan(就業支援融資):指定された職業の職業実習生を対象とした無利子の生活費等貸与型融資。HELPと同じ所得連動型の制度である。

※3myGovアカウント:オーストラリア政府が提供する電子政府サービス。オンラインでアカウントを作成することにより、政府が提供する医療保障、税制、育児等のサービスをワンストップで受けることができる。

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