学習成果の測定・比較に関する欧州プロジェクト―CALOHEEの始動

原典:International TUNING Academy(英語)

国際チューニング・アカデミー※1は2015年9月、欧州高等教育における学習成果の測定・比較に関するフィージビリティ・スタディプロジェクト「Measuring and Comparing Achievements of Learning Outcomes in Higher Education in Europe」(CALOHEE)の始動を発表した。EUの助成を受けて、2017年春までの実施が計画されている。

目的、開発対象分野

CALOHEEは、学士および修士課程学生を対象とした学習成果を測定するための欧州共通のテストの開発を目指すものである。将来的には広範囲の分野での開発が構想されているが、プロジェクトの端緒として、5つの分野でテスト問題の開発に着手する。

5つの分野―
工学(土木工学)、保健(看護学)、人文科学(歴史学)、自然科学(物理学)、社会科学(教育学)


手順―3段階の工程

第1段階: 国際チューニングアカデミー等が策定に関わった既存の参照基準(reference points)を更新し、5分野の学士・修士毎の参照基準(学習成果や授与される典型的な学位等)を作成。
第2段階: テストの内容・実施について詳細に設計。
第3段階: 1分野につき75機関でテストを実施(375機関が参加)。

体制

プロジェクトは、国際チューニングアカデミーが率いるコンソーシアムによって進められる。技術サポート役として、Educational Testing Service(ETS:米国に本拠を置く非営利のテスト開発機関)が加わる。各分野には、15の高等教育機関(すべて異なる国)から教員が参画し、5分野を合せて75機関が関わることとなる。また、プロジェクトパートナーとして、欧州学生連合(ESU)、欧州高等教育機関協会(EURASHE)、欧州高等教育アクレディテーション協会(ECA)、欧州工学教育アクレディテーションネットワーク(ENAEE)等が参画している。

※1 International TUNING Academy。スペインのDeusto大学とオランダのGroningen大学が主宰する国際的な高等教育研究センター。

<補足>
学習成果測定に関する共通テスト開発にむけた国際的な取組みとしては、OECDによって実施されたAHELO (Assessment of Higher Education Learning Outcomes)フィージビリティ・スタディがある。一般的技能、専門分野別技能(経済学、工学)において、テスト問題を開発し、2011年~2012年にテスト実施、2012~2013年にかけて報告書(3分冊)(本サイト2013/3/27投稿記事)が発行された。

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