修士・博士課程における国際化の状況

原典: OECD(英語)

経済協力開発機構(OECD)は、修士・博士課程レベルの国際的な学生移動の動向をまとめた「EDUCATION INDICATORS IN FOCUS(EDIF)」を2016年2月に公開した。EDIFは、OECDの「Education at a Glance」の中で、特に政策決定者や実務者が関心を寄せるテーマに焦点を当てて発行されている資料である。

資料の概要

    • 修士課程またはそれに相当するレベルにある学生の10人に1人は、OECD諸国に留学しており、博士課程については、その比率は4人に1人に上昇する。
    • OECD諸国における博士課程の留学生(international students)の約60%は、科学(science)、工学、農学のいずれかの分野で学んでいる。
    • 米国は、OECD諸国において博士課程のプログラムで学ぶ留学生の38%を抱えている。ルクセンブルクとスイスは留学生の比率が最も高い国であり、自国の全博士学生の半数以上を留学生が占めている。
      • 修士課程のプログラムで学ぶ留学生の占有率が最大の国は米国(21%)であり、次いで英国(16%)、フランス(11%)、ドイツ(11%)、オーストラリア(8%)である。博士課程については、米国(38%)、英国(13%)、フランス(8%)、オーストラリア(5%)、ドイツ(5%)の順である。
      • (自国における)修士学生に占める留学生の割合が高い国は、ルクセンブルク(67%)、オーストラリア(38%)、英国(36%)、スイス(27%)の順である。
    • 修士・博士課程の留学生は、留学先として、研究活動や高等教育機関の発展のための財政支出に積極的な国を選択する傾向にある。
      • スイスは、高等教育における学生一人当たりへの支出額が最も高く(13,600米ドル)、ルクセンブルクに次いで博士学生に占める留学生の割合が高い。オーストラリア、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、スウェーデン、英国は高等教育における学生一人当たりへの支出額が5,000米ドル以上であり、留学生の割合は30%である。博士課程における留学生の割合が5%以下の国(チリ、ロシア、メキシコ)は、高等教育における学生一人当たりへの支出額が2,000米ドル以下である。
  • OECD諸国において、修士・博士課程の留学生の過半数(53%)は、アジア地域の出身であり、中国は単独で、23%にのぼる。その他の主な出身国は、インド(8%)、ドイツ(4%)である。

双方のメリット

多くの学生は、修士・博士課程の段階で留学することを模索している。また、研究者や専門職にとって国際的な経験は重要であるとされている。欧州大学協会(EUA)は、博士課程での学修を希望する学生(doctoral candidate)は、国際的な研究活動に参加できるようにすべきと推奨している。

受入国側にとっても、留学生の受入れは魅力的である。留学生が支払う授業料や生活費のほか、学生として入ってきた学生が、後に研究者や高度職業人材として受入国の社会に貢献する可能性がある。予測では、OECD諸国に滞在する留学生の4分の1が、卒業後も留学先国に留まるとされている。

 

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