中国:2015年高等教育国際化発展状況調査

原典:中国教育国際交流協会(CEAIE)(中国語)

中国教育国際交流協会(CEAIE)は、教育部国際合作与交流司の委託を受け、中国の高等教育機関の国際化の状況把握を目的として、全国の大学(学部レベル)を対象にアンケート調査を行った。寄せられた649校からの回答のうち、556校分を有効回答とし、総合的な分析を行い「2015年中国高等教育国際化発展状況調査報告」(中国語)をまとめた。

 主な内容(抜粋):
国際化戦略と実施方法の制定
95.0%の大学が自大学で定めた発展戦略計画の中に国際化を明確に掲げており、93.0%が国際化戦略目標を制定し、89.7%が国際化戦略目標をもとに、中長期計画と実施方法を定めている。

国際化に向けた組織整備とルール作り
86.5%の大学が国際化委員会などの組織を設け、75.0%が国際化推進室を設置している。95.5%の大学が、国際化に関する規則を制定している。

国際スタッフ
556校中542校が国際化担当の専任職員を置いており、全職員に占める割合は1校あたり平均3.7%となっている。

外国籍教員の人数と割合
中国の大学(学部レベル)における外国籍専任教員の数は少なく、アンケート調査した全大学の平均では1校あたり約17人で、中国の代表的な大学である985プロジェクト大学※1でも、1校あたり平均約70人となっている。専任教員に占める外国籍教員の割合は、全大学の平均で1校あたり1.8%となっている。

海外の博士号を持つ専任教員の数と割合
985プロジェクト大学の海外の博士号を持つ専任教員の平均数は1校あたり約300人、1校あたりの割合は平均11.8%であるが、全大学の平均では1校あたり2.9%と極めて低い。

外国人留学生の数と割合
985プロジェクト大学では外国人留学生の数は1校あたり平均2,143人であるが、1校あたりの割合でみると、5.7%である。全大学の平均では1校あたりわずか1.8%にとどまっている。

外国語のみで授業を行う科目(外国語学習科目を除く)の割合
外国語のみで授業を行う科目(外国語学習科目を除く)の割合は全大学平均で1校あたり約4.5%で、いずれの大学においても大きな差は見られない。

海外の機関からの科学研究費支援の額と大学の科学研究費全体に占める割合(1元=17円で計算
海外の機関からの科学研究費支援の額は、大学によって数十万元(約数百万円)から1千万元(約1億7千万円)以上とばらつきがある。985プロジェクト大学の外部資金の獲得額は1校あたり平均1千万元(約1億7千万円)余りであるが、211プロジェクト校※2では1校あたり平均170万元(約2千890万円)、全大学平均では70万元(約1千190万円)とばらつきがある。大学の科学研究費全体に占める割合は全大学平均1.2%で、大学のレベルや地域による差異はあまりない。

国際交流、交換留学(海外派遣)
教員の短期の海外視察、訪問、国際学術会議等への参加は1校あたり平均延べ115人、学生の海外の単位取得プログラムへの派遣は1校あたり平均延べ99人と少ない。

短期留学、交流(国内受入)
海外の研究者の短期講義、共同研究の受入数(1ヶ月以上の滞在)は、1校あたり平均20人、外国人学生のサマースクールへの受入数は1校あたり平均45人と、海外派遣に比して更に少ない。

結論
大学の国際化戦略の重要性は認識されているものの、アンケート調査結果全体で見ると国際化の進度は遅い。
また、国の重点大学への優遇政策が国際化の進展に影響を与えており、多数の指標において985プロジェクト校、211プロジェクト校、その他の大学の順で国際化の進度に差が生じている。

 ※11998年12月に教育部が発表した「21世紀に向けた教育振興アクションプラン」による、世界水準の一流大学の創設を目指す国家プロジェクト。1998年5月4日に行われた江沢民総書記(当時)の講話から「985プロジェクト」と呼ばれている。2013年1月現在、北京大学や清華大学等、39大学が指定を受けている。

 ※21995年に開始されたプロジェクトで、21世紀に向けて約100の大学・学科について、教育、研究、管理面等の質を重点的に向上させようというもの。高等教育分野における国家プロジェクトとしては中国最大規模を誇る。2013年1月までに112大学が指定を受けている。

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