Inside Higher Edは、アメリカ連邦教育省が国内の評価機関の長へ宛てた書簡を公表した。この文書には、教育機関のコンピテンシーにもとづく教育(CBE)(本サイト2014年10月31日投稿記事)課程が連邦奨学金の受給対象となるために必要な、評価機関による審査時の留意点が述べられている。
2014年の夏以降、教育省はCBE課程に対して連邦奨学金を試験的に配分(本サイト2014年9月11日投稿記事)する政策(ESI: experimental site initiative)を打ち出しており、6月2日には地域別評価機関がCBE課程承認に対する共同方針を発表(本サイト2015年6月17日投稿記事)していた。今回の書簡の内容はこれらの流れを踏襲しており、①コンピテンシーを単位時間(credit hour)に換算することと②学生が教員などの資源を充分に活用できるようにすることが強調されている。
特に、教員など人員配置では、CBE課程の学生は「有資格教員」へのアクセスの保証が必要となる。有資格教員とは、適当な分野の学術資格と経験を有する教員のことで、「有資格」かどうかの判断は評価機関が行うとされている。さらに、学生と教員間に「定期的で重要な(regular and substantive)」相互関係が構築されるようなプログラム作りも求められている。ここでの定期性や重要性の判断も評価機関に委ねられている。また、この書簡では、従来の大学教育で用いられているティーチングアシスタントの活用も認めている。
連邦教育省では、今年の3月から5月にかけて、CBEで先進的な取組みをしている南ニューハンプシャー大学※のPaul LeBlanc学長を上級顧問に招いてESIの制度設計を進めてきた。6月に入って相次いで発表された評価機関による共同承認方針および教育省からの書簡は、CBEという手法への教育現場からの要望に利害関係者が応えた形になっている。いよいよCBE課程がアメリカの高等教育に新たな風をもたらす日も近づいている。