アウトカム中心の評価など オバマ政権が大学評価制度の改革を指示

出典:連邦教育省

連邦教育省は、オバマ政権による大学評価制度改革のための政策を11月6日に発表した。同日には、大学評価制度を説明する同省のウェブページが一新され、各評価機関が用いている学生の達成度評価の基準を一覧で公表するなど、改革に対する大統領の意欲的な姿勢が示されている。

大統領による政策的行動であるexecutive actionとして今回発表されたのは下記の5つ。教育省が行う国の奨学金の支給対象大学へのレビューにおいて、成果を中心としたリスクベースの評価を行う姿勢が明らかにされている。さらに、上下院とも共和党が多数を占める議会への提言が4つなされており、ここでは透明性の強化とともに教育省の権限強化などを求めている。

 

政策行動(Executive Action)

  • 各評価機関による学生の成果に対する評価基準の公表(こちらで公表済)
  • 大学評価制度に関するウェブサイトの改訂
  • 省内、および評価機関と州との間の連絡強化。現行規則で対応しうる範囲で、リスクベースの監督手法導入
  • 高等教育機関のパフォーマンスを目的とした既存データ活用促進
  • 教育省による奨学金支給対象高等教育機関に対する、成果を中心としたレビュー

 

議会への提言

  • 教育省による評価機関認定の際に、学生の成果に対する測定項目の特定を禁じている条文の削除
  • 高リスク教育機関には詳細な改善計画を要求するとともに、評価機関によるこうした計画履行の補償制度を整備するよう、評価機関認定基準の改正
  • 評価結果などに関し、国としての用語の統一した使用
  • すべての評価結果報告書の公開と、連邦政府が管理するウェブサイトでの掲載

 

連邦教育省は、今回の発表の背景として、アメリカの大学評価制度(アクレディテーション)に対する社会からの強い改善要求を指摘している。とりわけ、適格認定を受けていながら2015年春に閉校・倒産したコリンチアン大学の事例、大学の質に関する国家諮問委員会(NACIQI)による2012年と2015年(本サイト2015年1月13日掲載記事)の提言、2014年の会計検査院報告が、制度改革の必要性を示したとしている。また、上下院での公聴会や専門家やメディアの間での議論も、改革を求める声が高まっている要因に挙げている(例えば下記の記事)。

 

こうした状況の中、教育省では新たな高等教育に対する質保証を試験的に導入することを先月発表(本サイト2015年11月20日掲載記事)するなど対策を打ち出している。今回の政策行動は、評価機関と教育省によって大学の管理能力改善を行い、これまでよりも学生の成果と透明性に重点を置く狙いがある。一方で、こうした狙いを達成するために、連邦教育省の活動権限を強化するよう、議会の同意を求めている。

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