インド大学協会(AIU: The Association of Indian Universities)は、これまでの外国学位の認証要件を緩和し、単位互換や単位認定を通じて通常よりも短期間で取得された学位についても、同国の学位との同等性を認めることを決定した。The Times of Indiaが11月11日付で報じている。
AIUは外国とインドの中等教育修了資格や学位の同等性審査を90年以上行っている。この審査は、外国で教育を受けた者がインド国内の高等教育機関へ進学したり、公務員として就職する際に必要となる。学位の同等性が認められる基本的な要件は、当該教育機関が正規に認可されており、当該学生がフルタイムで学習し、修了したプログラムへの入学資格がインドの場合と同等であり、プログラムの期間もインドと同様の場合、となっている。
しかし、今回の要件緩和によって学習期間が異なる場合でも学位の同等性が認められやすくなった。具体的には、(a) 必要なすべての単位を通常よりも短期間に取得したことで与えられた学位、(b)他の学位授与機関で取得した単位の認定(単位互換)によって与えられた学位、(c)特定の単位数またはセメスター数の認定によって与えられた学位に関して、同等性が認められ得ることになった。これらの具体的な要件は、AIUが発行しているPolicies & Procedure for Equivalence of Qualification/Degreesに掲載されている。
こうした要件改正により、例えばサマースクールやウインタースクールに参加して単位が与えられる場合や、編入学からの学位取得をする場合、交換留学中に取得した単位が認定される場合などでも、その学位が認証されることになるとみられる。
インドの学位認証をめぐっては、オーストラリアにおけるpathway課程を経由した学士号*が認証されないことが、8月の教育担当大臣同士の会談で取り上げられた(本サイト2015年9月14日掲載記事)。この際に発表された声明では、同学士号が今後インドの学士号と同等であるとみなすことがインド政府から発表されており、規則改正が待たれていた。今回のAIUの決定は、こうした動きを受けながら流動性が増す現代の高等教育事情に合わせた制度改正とみられる。
*pathway課程を経由した学士号
オーストラリアでは学力不足で学士課程に進学できない学生のためにpathway課程という1年以上のプログラムが用意されている。これらは大学ではない教育機関によって提供されているが、一部の課程は特定の学士課程2年次への編入が可能になっている。これまでのAIUの方針では、pathway課程からの2年次編入によって取得されたオーストラリアの学士号では、1年次部分の単位は学位を授与した大学では取得していないため、インドの学士号と同等とはならなかった。そのため、オーストラリア留学をしたインド人学生は、帰国してからの進学や就職の際に不利益を被ることがあった。pathway課程で学ぶインド人学生の数は多く(約48000人)その影響は少なくないため、オーストラリアのPyne教育訓練相は、2015年8月にIraniインド人材開発相との会談の際に、問題解決を提案していた。