タイの質保証機関であるONESQAの提案したエリアベースアセスメントについて

原典①:ONESQA (英語)
原典②:Bangkok Post(英語)

タイの質保証機関であるONESQA(Office for National Education Standards and Quality Assessment, 全国教育水準・質評価局)が5年ごとに実施している第三者評価において、第3期評価(2011~2015年)よりエリアベースアセスメント(Area-Based Assessment:ABA)が実施されている。

ABAは、第三者評価の受審対象を県(Province)単位とするものである。県ごとの評価結果の全体像を把握しやすくすることで、質の向上につながる必要な情報や関連する知識をより明確にし、県ごとの教育の質保証システムを強化することが大きな狙いである。2012年以降、毎年8~41の県が抽出され評価を受けている。受審対象となった県の教育機関は、第三者評価受審前に県の連携ネットワーク(Provincial Educational Quality Festival) を組織する。そのネットワーク間で教育機関の質の向上や第三者評価に向けた協力を行い、第三者評価結果を共有し評価活動の参考とすることで、県単位による今後の対策や方針を打ち出していく。

ONESQAは、全教育段階(就学前~高等教育)の第三者評価を実施しており、全ての教育機関の評価を終了するまで5年の期間を要するが、県や地域ごとの全体像を把握するための条件の整った、有効なデータベースが構築できていなかったことがABA導入の背景にある。また、第三者評価システムの強化や発展もねらいにあり、県ごとのネットワーク連携が促進されることで、全ての教育機関の評価活動への参画や地域格差是正など、質文化が浸透していくことを目指している。

なお、Bangkok Postの記事によると、ONESQAが2011年-2013年に実施したタイ中心地域にある7県4009機関の評価結果について、ONESQAの代表Dr.Channarongは、ABAを導入したことで、県ごとの質の状況がより明確になったと伝えている。今回受審したほとんどの機関が第三者評価で認定の結果を得たが、全体的に学生の学習達成度の評価が低いという結果が出ている。各教育段階の評価結果の傾向も記事に掲載されており、高等教育においては、7つの県内にある19の全ての大学が認定されたが、研究・学術活動の質・量ともに、さらに努力が必要であるとされている。

<県単位の連携ネットワークの構成例>
管理部門:県知事、副知事、地方長官、下院議員、上院議員、市区町村長、
教育部門:初等・中等教育の教育委員長、指導主事、学校長、教員
民間部門:県の産業団体、商工会議所、銀行、協会など

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