コメント(解説):欧州ではジョイントディグリーなどを提供する共同教育課程をプログラム評価する場合に、実際の評価はある国が1度だけ行い、他の国はその評価結果を認証することにしようという考えが広まりつつあります。ドイツ(AR)とオランダ(NVAO)の評価機関は、この共同教育課程評価の簡素化のための協力協定を締結しました。この協定は単にプログラム評価に対しての取り決めに留まらず、日本のように機関別評価を行う場合の対応も共同で検討することが盛り込まれていおり、今後の動きが注目されます。
実施主体
AR (アクレディテーション協議会)、NVAO (オランダ・フランダースアクレディテーション機構)
実施年
2015年
概略
ドイツで質保証機関を統括する立場にあるアクレディテーション協議会(AR: Akkrediterungsrat)と、オランダおよびベルギーのフランダース地方で大学評価を行っているオランダ・フランダースアクレディテーション機構(NVAO: Nederlands-Vlaamse Accreditatieorganisatie)の間で締結された、共同教育プログラムの評価結果を互いに認め合うという内容の協定。2015年7月8日に調印がなされた。
協定の主な内容は以下の2点となる。
- ドイツと、オランダおよびフランダースの第三者評価制度は比較可能であると結論づける
- 共同教育プログラムに対する評価結果を互いに認証することに合意する
両機関が合意した詳しい内容は以下の通りとなる。
(1)適用の対象
共同教育プログラムを提供するコンソーシアムで、ドイツとオランダの高等教育機関、あるいはドイツとフランダースの高等教育機関が少なくとも1機関ずつ参加しているもの。
(2)評価を行う機関
それぞれの共同教育プログラムは、ARが認定する(ドイツの)評価機関もしくはNVAOのどちらの評価を受けるか選択できる。
(3)評価手法・基準
選択された評価機関は、通常通りの手法・基準で対象プログラムの評価を実施する。ただし、評価の際は下記の観点が追加される。この観点の追加により、両国(ドイツとオランダ、またはドイツとフランダース)で求められる第三者評価の項目が充足されることになる。
▽ARが認定する評価機関によるプログラム評価
通常の評価+当該プログラムの成果の評価
▽NVAOによるプログラム評価
通常の評価+当該プログラムの実行性(特に、学生の学習負担を測定する機能を有しているか)の評価
(4)評価結果の取扱い
プログラム評価の結果、通常の評価および上記(3)における追加の観点の評価が基準を満たしている場合は、当該プログラムはARとNVAO双方から適格認定を受ける。
(5)使用言語
評価報告書は原則として英語が用いられる。
(6)評価作業を行わない側の権利
評価作業を行わない側の評価機関には、①訪問調査へのオブザーバ派遣と、②評価関係資料の閲覧をする権利が与えられる。
(7)機関別評価へのアプローチ
両機関とも機関別評価(ARではシステムアクレディテーション、NVAOでは機関別オーディットと呼ばれる)を実施しているため、機関別評価での適格認定を有する高等教育機関が提供する共同教育プログラムの取扱いに関して、共同で調査を行う。将来的には、ARのシステムアクレディテーションを受審したドイツの教育機関とオランダ/フランダースの教育機関による共同プログラムがNVAOの適格認定を受けるための条件、およびこれと反対の状況における条件が検討されることになる。
(8)協定の期間
協定に署名された日(2015年7月8日)から5年以内に、この協定の効果が検証される。