コメント(解説):「キャンパス・アジア」(”CAMPUS Asia”)のモニタリングとは、国際共同教育プログラムの現状を把握し、教育の質の観点から優良事例を抽出して国内外に広く発信する活動です。この成果報告書として刊行した「共同モニタリング報告書」には、モニタリング+(プラス)で得られた、日中韓の大学による共同教育プログラムの優良事例を豊富に収録しています。
国内外の大学においてダブル・ディグリー等、国際的な共同教育プログラムを企画・運営される際の参考になれば幸いです。
実施主体
大学改革支援・学位授与機構(NIAD-QE)、中国教育部高等教育教学評価センター(HEEC)、韓国大学教育協議会(KCUE)
実施年
2013年:1次モニタリング
2015年:2次モニタリング
2018~2019年:モニタリング+(プラス)
概略
キャンパス・アジア(”Collective Action for Mobility Program of University Students” Asia : CAMPUS Asia)
2010年4月に日中韓三国の政府により立ち上げられた、質の保証を伴った大学間交流を推進するための構想のこと。この構想は、日中韓の大学間で質保証を伴ったプログラムを提供することで、質の高い教育提供と人材養成の持続的展開を図ることを目的としている。
2011年から2015年までの5年間(第1モード)では、日中韓の大学による10件のパイロットプログラムが実施され、2016年から2020年までの5年間(第2モード)では、本格実施期として17件のプログラムが実施された。
「キャンパス・アジア」モニタリングの目的
- 国際共同教育プログラム(ダブル・ディグリー、交換留学等の国際的な協働を伴う教育プログラム)の質保証の手法構築
- 教育の質の観点から優良事例を抽出及び国内外への幅広い発信
- 日中韓の質保証機関向けの、国際連携を伴う教育の質保証に関する「共同ガイドライン」の作成
「キャンパス・アジア」モニタリングの変遷
1次モニタリング(2013年):
「キャンパス・アジア」パイロットプログラムを対象に、日中韓の各質保証機関が国内の関連法規や評価制度・手法を踏まえ、個別に策定した基準を用いて自国のプログラムの採択大学の訪問調査等により個別に実施した。
2次モニタリング(2015年):
「キャンパス・アジア」パイロットプログラムを対象に、1次モニタリングの基準・手法等を比較・分析した上で、3か国共通のモニタリング基準を始めとする枠組みを策定し、日中韓共同でモニタリングを実施した。
モニタリング+(2018年~2019年):
「キャンパス・アジア」本格実施(第2モード)プログラムを対象に、これまでのモニタリングの経験を基に策定した「共同ガイドライン」の枠組みに沿って、日中韓で主担当プログラムを3件ずつ分担し、モニタリングを実施した。
以上の3度のモニタリングでは、NIAD-QE、HEEC及びKCUEの間で構築した信頼関係に基づき、「個別」→「共同」→「分担」と実施手法を進化させながら実施した。
モニタリングを通じて得られた優良事例
2019年12月に刊行した「共同モニタリング報告書」では、日中韓の質保証機関による共同のモニタリング活動から得られた優良事例を紹介している。優良事例の主な特徴は以下のとおり。
特徴1. 多様な交流プログラムから得られた事例
「キャンパス・アジア」の各プログラムの学問分野、交流形態はコンソーシアムを構成する大学により様々であり、そうした多様な交流プログラムの取組から優良事例を抽出。
優良事例の一例:
日中韓の大学キャンパスを周遊する短期プログラム、地元企業等と連携したPBL型ワークショップ 等
特徴2. モニタリング+で設定した5つの基準ごとの事例
国際共同教育プログラムの構築・運営状況を把握し、その質を向上させるための視点として、モニタリング+では下記の5つの基準を設定し、「キャンパス・アジア」プログラムの計104件の優良事例を抽出。
基準① 目的と実施(27件)
基準② 教育プログラムの共同開発(25件)
基準③ 学生支援(24件)
基準④ 共同プログラムの付加価値(成果)(18件)
基準⑤ 継続的な質の向上(10件)
なお、「キャンパス・アジア」モニタリングに関する詳しい情報や、共同モニタリング報告書(優良事例集)、共同ガイドライン等の成果資料は以下のウェブサイトに掲載している。