高等教育の「質」に焦点を当てた国際化戦略への投資の提言

原典:FRANCE STRATEGIE(英語)

●概要
フランスの大統領府の専門諮問機関であるFRANCE STRATEGIEは、2015年1月に、フランス高等教育の国際化戦略に関する分析書「高等教育の国際化:投資の時」(The internationalisation of higher education: it’s time to invest,「LA NOTE D’ANALYSE」)を発表した。分析書では、高等教育の世界的な競争激化と多様化の中で、高等教育の国際化への投資は不可欠なものであり、フランスの高等教育システムの質の持続的な改善も同様に必要であると結論付けている。その上で、次の3点についての改革を促進するために投資することをアクションプランにまとめ、提唱している。

(1) 奨学金制度の対象をフランス語圏に定めることで、フランス高等教育への公平なアクセスを維持すること
(2) 外国人学生にとってのフランス留学の質を改善すること
(3) フランス高等教育に対する魅力を高めること

●フランスの状況ととりうる選択肢
フランスは、早くから国境を越えた教育(TNE)を導入するなど国際化の中心的存在である一方、国際的な大学ランキングでフランスの大学の地位が芳しくないことや、大学における国際化戦略の組織化が不十分なこと、国際化戦略を実現する人材が限られているといった課題を抱えている。 こうした中、フランスとしては、国際化の中心に「質」を置き、国際化を実現していく過程で、教育研究の質の改善に投資していく道を選ぶべきであると分析書 は述べている。さらに、国際化には多額の費用がかかるため、国レベルで優先順位を整理して、選択的に投資を行うべきであり、それによって、短期的・中期的 な欠点を解消していくとともに、新たな留学生の期待に沿うために、高等教育の質向上に投資することが重要であるとしている。

●国際化戦略の推進
分析書では、高等教育機関における国際化を推進するためのアプローチとして、6つの提案が掲げられている。

①国の統計制度の強化
②国際化の利益についての評価の実施
③戦略的に形成された教育プログラムを対象とした財政的インセンティブの付与
④国際的評価の枠組み・指標の開発
⑤高等教育機関の国際化を支援し専門知識を提供するための専門機関の創設
⑥国際業務に従事する職員の専門性向上の奨励

●改革を維持するための5つの投資プラン
以上の改革のためのアプローチに要する財源は、EU外からの留学生(博士課程を除く)の授業料を引き上げることによって賄い、その額は年間8億5000万ユーロと試算されている。具体的な投資の計画は以下の通りとなっている。

①フランス語圏からの留学生に絞った奨学金の授与
②学生に対するサービスの充実と留学生活の改善
③フランスの教育プログラムや教育機関の海外展開
④フランスの高等教育機関におけるIT教材の開発
⑤新たな学生をフランスに惹きつけ呼び込むための積極的な政策

この中でも、特に①、②、⑤への投資を提唱しており、①に全投資額(8億5000万ユーロ)の約50%、②に約30%の予算を当てている。

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