台湾:HEEACTが新サイクル(2024-2029年)のプログラム評価実施計画を公表

2023年11月、台湾の質保証機関である台湾高等教育評鑑中心基金会(HEEACT※1)は2017年にプログラム評価の受審が任意化されてから6年が経過し、2024年から新たなサイクルに入るとして、「委託プログラム評価実施計画(2024年版)」(原語:大專校院委託辦理品質保證認可實施計畫)と「自己認証プログラム評価実施計画(2024~2029年版)」(原語:大專校院自辦品保認定實施計畫)を公表した。「委託プログラム評価実施計画」とは、大学がHEEACTにプログラム評価の実施を委託した際に用いられる評価基準等が示されたものである。一方の「自己認証プログラム評価実施計画」とは、大学が自身でプログラム評価を行う(自己認証)にあたり、HEEACTによる審査・認定の対象となる「評価メカニズム実施計画書」及び「評価結果報告書」の審査項目等が示されている。

台湾のプログラム評価は、第1期(2006~2010年)と第2期(2012~2016年)では全てのプログラムを評価の対象として受審が義務とされていたが、2017年に任意となり、大学は評価を受審するか否か※2、どのように受審するかを自ら選択することとなった(NIAD-QE (2018)「台湾の高等教育・質保証システムの概要」pp.12)。2018年以降は、大学が評価機関に委託して受審する「委託プログラム評価」と、一定の条件を満たした大学※3が自らの責任で評価を実施する「自己認証プログラム評価」のどちらかの形式で行われている。

「委託プログラム評価」では、従来のプログラム評価と同様、評価機関※4が定めたプログラム評価基準に基づいて審査・評価が行われる。「自己認証プログラム評価」では、大学が、評価基準等を含めた「評価メカニズム実施計画書」の策定、評価の実施、評価結果の決定及び「評価結果報告書」の作成等の一連の作業を行う。このうち、「評価メカニズム実施計画書」と「評価結果報告書」については、HEEACTによる審査・認定が必要となっている※5。(「自己認証プログラム評価」におけるHEEACTの役割については別枠欄を参照)

「委託プログラム評価」、「自己認証プログラム評価」ともに、評価結果の認定期間は6年又は3年であり、認定3年の場合は、書類審査等を経て認定期間の延長が可能となっている。

  • ※1.Higher Education Evaluation and Accreditation Council of Taiwan。台湾教育部主導の下、台湾の全大学の協賛を得て、2005 年に設立された。学術系の高等教育機関の機関別評価、プログラム評価等を実施している。
  • ※2.制度上、大学はプログラム評価を受審しなくてもよいこととなったが、機関別評価を受審する際に、プログラム評価を受審していない理由を提示することが求められる。(HEEACT Newsletter Issue 2 pp.3)
  • ※3. 自己認証プログラム評価を実施することのできる大学は、過去に、教育部が実験的に実施した自己認証プログラム評価認定、若しくはHEEACTによる自己認証プログラム評価認定を受けたことがあること、又は、直近に受審した専門機関によるプログラム評価において、訪問調査を受けた学部学科のうち90%以上が最優秀レベルと評価されていること等の条件を満たさなければならない。
  • ※4.大学が評価機関を選んで受審する。HEEACTのほかに、主に技術・職業系高等教育機関に対する評価を行う台湾評鑑協会(Taiwan Assessment and Evaluation Association:TWAEA)もプログラム評価を実施している。
  • ※5. 前サイクル(2018~2023年)では、21大学が認定された(系所自辦品質保證認定)。

「自己認証プログラム評価」におけるHEEACTの役割:

「自己認証プログラム評価」では、大学は、評価実施前にHEEACTから「評価メカニズム実施計画書」の認定、評価実施後に「評価結果報告書」の認定を受けなければならない。それぞれ、HEEACTのワーキンググループが審査し、認定委員会が認定可否を決定する。審査はすべて書面で行われ、審査中に説明を要すると指摘された点があった場合、大学は一定期間内に回答書を提出しなければならない。また、認定を受けた後も、認定時に付される意見に基づき、「評価メカニズム実施計画書」や「評価結果報告書」を修正して再提出する必要がある。審査ワーキンググループによる修正内容の確認を経て認定が確定する。

  • *評価結果は、機関レベルとプログラムレベルの2構成とすることとなっており、別々に審査される。審査項目については、表2⁻1及び表2⁻2を参照。

新サイクル(2024~2029年)のHEEACTの「委託プログラム評価実施計画(2024年版)」と「自己認証プログラム評価実施計画(2024~2029年版)」の特徴及び前サイクル(2018~2023年)からの変更点は次の通りである。

「委託プログラム評価実施計画(2024年版)」の特徴

評価項目の設計理念について、前サイクルでは「学習本位の定着と質保証文化の形成」であったのに対し、新サイクルでは「内部質保証の定着と持続的発展能力の強化」とし(關於系所委託辦理品質保證認可)、内部質保証の強化と持続性に注力していることがうかがえる。

特に、新サイクルでは、各プログラムが大学全体の発展計画と密接な関係があることに着目し、①大学の発展計画とプログラム計画の関連性を明確にし、②内部質保証を確保してプログラムの特色を出して競争力を高め、③プログラム評価の資料から大学の発展計画の成果を見出し、それに応じた調整や改善を行うことに重点が置かれている。

評価基準の各基準(1. プログラムの発展・経営・改善、2. 教員と教育、3. 学生と学習)は、前サイクルから変更はないが、各基準の下に置かれたコア指標については、変更が見られる。新サイクルでは「2. 教員と教育」の下に、「教員の学術・専門、学習指導サービス開発とそのための支援体制(2-3)」と「教員の教育、学術・専門、学習指導サービスの業績(2-4)」をコア指標としており、教員による学生への学習指導サポートが重視されていることがうかがえる(表1)。

表1 HEEACTのプログラム評価基準

「自己認証プログラム評価実施計画(2024~2029年版)」の特徴

新サイクルでは、①評価結果確定後の管理とフォローアップメカニズムの構築、②評価項目、指標、検査の重点の簡潔・明確化、③大学側の資料準備と評価委員の審査の効率性向上に重点が置かれている。

例えば、「評価メカニズム」の審査項目には、結果が最優秀レベルに達しなかった項目について、学内にフィードバック体制を整えた上でフォローアップメカニズムを確立し、継続的に改善する体制を構築することが示された(表2-1. 審査項目8.)。また、「評価結果」の認定審査項目には、大学の関係者が自己認証プログラム評価全体の意見を統一的に聴取・レビューを行うことによって、効率的に取り組むことが示された(表2-2. 機関レベル審査項目6.)。

このほか、自己認証プログラム評価の各段階における審査項目の指標数を削減し、根拠として提示すべき資料の例が示されるようになった。

表2-1 自己認証プログラム評価:評価メカニズムの認定審査項目

表2-2 自己認証プログラム評価:評価結果の認定の審査項目

原典①:新週期系所品保實施計畫公告
原典②:新週期大專校院委託辦理品質保證認可計畫簡介
原典③:新週期大專校院自辦品質保證認定計畫簡介

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