リスボン承認規約
正式名称 | Lisbon Recognition Convention |
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策定主体 | 欧州評議会/UNESCO |
策定(実施)年 | 1997年 |
概略 | 正式名称は「欧州地域における高等教育に関する資格の承認に関する規約」(Convention on the Recognition of Qualifications concerning Higher Education in the European Region)といい、1997年4月8日から11日にかけてリスボンで行われた代表者会議で採択された。
加盟国に対し、他国からの高等教育機関への進学や就職を容易にするために、他国の学位・資格について、実質的な相違がなければ自国の類似した学位・資格として承認すること、学生や雇用主、高等教育機関等に対して、外国の学位・資格の承認に関する情報提供を行う国内情報センター(NIC)を設立すること、高等教育機関に対して、ディプロマ・サプリメント(学位証書補足資料)の発行を促進させることなどが盛り込まれている。 |
リンク | https://www.coe.int/en/web/conventions/full-list/-/conventions/treaty/165 ![]() |
正式名称 | European Qualifications Framework: EQF |
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策定主体 | 欧州委員会 |
策定(実施)年 | 2008年 |
概略 | 欧州で用いられている資格・学位を欧州共通の視点で理解するための仕組み。これにより、労働者や学習者の国際的な流動性が高まり、生涯学習が促進されると見込まれている。
EQFは、各資格・学位を8段階(レベル1~レベル8)に分類し、当該資格取得に必要とされる知識(knowledge)、技能(skills)、能力(competence)に関する学習成果を示す。 学士レベル(高等教育第1期)に相当するレベル6は次のように示されている。
<欧州資格枠組み(EQF)の8水準> |
リンク | https://europa.eu/europass/en/european-qualifications-framework-eqf ![]() |
正式名称 | Framework of Qualifications for the European Higher Education Area: QF-EHEA |
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策定主体 | 2005年の欧州高等教育大臣会合(ベルゲン会合)で採択 |
策定(実施)年 | 2005年 |
概略 | 欧州高等教育圏に属する国が、それぞれの国家資格枠組み(national qualifications framework)を制定するための指標となる資格枠組み。欧州各国の高等教育が、多様性と共通性のバランスを保つために定められている。 EHEA-QFを介することで、欧州各国の国家資格枠組みや学位の間の関係性が明確になる。 欧州高等教育圏資格枠組みの特徴は以下の通りである。
欧州高等教育圏資格枠組みは下記の3サイクル制によって構成される。
また、この枠組みはoverarching frameworkという呼び方をされることもある。 |
リンク | http://www.ehea.info/Upload/document/ministerial_declarations/EHEAParis2018_Communique_AppendixIII_952778.pdf ![]() |
正式名称 | European Credit Transfer and Accumulation System: ECTS |
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策定主体 | 欧州委員会 |
策定(実施)年 | 1999年のボローニャ宣言において提案 |
概略 | 教育プログラムの達成のために求められる学習量に基づく単位システム。欧州内での留学時における学習の認定を保証するための共通の手続きとして、ボローニャ宣言に基づき欧州委員会のイニシアチブにより整備。学習量に応じた単位の蓄積と読み替えを通じて、欧州での国境を越えた学生流動を促進させるとともに、複数の機関による国際的な共同教育プログラムを推進する。
原則として、1年間(1学年歴)の学修をおおむね60ECTS単位(1,500から1,800時間程度)の学習量とし、1ECTS単位は、25~30時間のフルタイム学生の学習量(面接指導、課題読書、自習、試験のプレゼンテーション等を含む)に換算する。本単位互換制度では、各大学は課程における各講義概要に想定される学習成果を記述し、各学習成果ごとに学習量を示す単位数を表示する。 |
リンク | https://ec.europa.eu/education/resources-and-tools/european-credit-transfer-and-accumulation-system-ects_en ![]() |
正式名称 | Diploma Supplement: DS |
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策定主体 | 欧州委員会 |
策定(実施)年 | 1999年のボローニャ宣言において提案 |
概略 | 学生が取得した学位・資格の内容について示した欧州地域における統一的な様式による説明書。高等教育機関における課程等の教育プログラムの修了者に対し、ディプロマ等の高等教育修了証明書に添付して発行する。様式は欧州委員会、欧州評議会及びUNESCOが共同策定したものであり、各国の高等教育機関はこの雛型に沿って作成・発行する。
欧州高等教育圏の構築を推進するボローニャ・プロセスのもと、欧州で国境を越えた教育の提供と学生の流動が活発化し、国外で取得した学位・資格の認定が課題となる中、共通様式のディプロマ・サプリメントは、資格に関する公的かつ透明性ある説明文書としての役割を持つ。 ディプロマ・サプリメントには主に以下の事項に関する情報が盛り込まれる。
ディプロマ・サプリメント様式 |
リンク | https://ec.europa.eu/education/diploma-supplement_en ![]() |
正式名称 | Standards and Guidelines for Quality Assurance in the European Higher Education Area (ESG) |
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策定主体 | ENQA(欧州高等教育質保証協会)、ESU(欧州学生ユニオン)、EUA(欧州大学協会)、EURASHE(欧州高等教育機関協会)、EI(エデュケーション・インターナショナル)、BUSINESSEUROPE(ビジネスユーロップ)、EQAR(欧州質保証機関登録簿) |
策定(実施)年 | 2005年(最新版:2015年) |
概略 | 欧州地域における高等教育の質保証に関するガイドライン。2003年の欧州高等教育大臣会合(ベルリン会合)において、質の向上に関する基準作りが要請されたことを受け、ENQA(欧州高等教育質保証協会)がEUA(欧州大学協会)、EURASHE(欧州高等教育機関協会)及びESIB(欧州全国学生連盟)と協力し策定。高等教育機関及び質保証機関双方にとって共通の参照点となる内部質保証、外部質保証(第三者評価)ならびに外部質保証機関に関する欧州基準が示されている。但し、欧州全体に適用される唯一の質保証基準を設けてそれに基づいて一律に評価を行うという趣旨ではなく、国・地域間の違いをある程度認めたうえで共通の質保証基準を設けるもので、各質保証機関の多様性を尊重し、策定されている。2005年以降に第1版が策定されて以降、ボローニャプロセス全体での大きな進展、学生中心の学習・指導へのパラダイムシフトといった背景の変化を踏まえ、ESGの明確性、適用可能性、有用性の改善を図るため、2015年5月に改正ESGが策定された。
<改正ESGの章立て> ○ 第2部: 外部質保証に関する基準とガイドライン ○ 第3部: 質保証機関に関する基準とガイドライン |
リンク | https://www.enqa.eu/esg-standards-and-guidelines-for-quality-assurance-in-the-european-higher-education-area/ ![]() |
翻訳資料 |
(翻訳:大学評価・学位授与機構、2016年1月) |
正式名称 | Tuning Educational Structures in Europe |
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策定主体 | 欧州委員会及び欧州の大学教員グループ |
策定(実施)年 | 2000年より(継続中) |
概略 | 学問分野ごとに欧州各国の教育カリキュラム構造や履修単位の換算、教授方法を調整(tuning)し、各国のカリキュラムを分かりやすくかつ比較可能とした参照ツールで、各機関において単位や学位の認定にかかる判断に資することを目的としたもの。欧州委員会の支援を受け、欧州の複数の大学の教員グループの自主的な取組みとして2000年に開始。これまでに化学、物理学、ビジネス・経済学、教育学、数学、地質学、歴史学、ヨーロッパ学、看護学の9領域において、カリキュラムごとの学位プログラムの教育や学習目標、学習量、成績評価、質の向上、質保証について整理。
チューニングは以下のプロセスに沿って行われる。
なお、チューニングは、各機関の多様性と自律の尊重を基本原則としており、各機関に適用を求めたり、各機関の教育専門家の学問的独立性を制限するものではない。 <チューニングにおける学習プログラムの科目群の例(欧州のビジネスと経済学> |
リンク | _ |
正式名称 | European Community Action Scheme for the Mobility of University Students: ERASMUS |
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策定主体 | 欧州委員会 |
策定(実施)年 | 1987年 |
概略 | EUの学生が他国の高等教育機関へ留学や企業への研修ができるよう支援するプログラム。1987年6月17日の開始当初は11か国3,244人の学生の参加であったが、開始25年間で270万人を超える学生と33か国の4,000を超える高等教育機関が参加するまでに成長した。現在では、欧州の参加国の学生の4%が参加するプログラムとなっている。また、高等教育機関の教員や職員も対象としており、1997年以来25万人が参加している。
エラスムス計画は、2007-2013年期においては、欧州委員会の生涯学習プログラムの活動の一つに位置付けられている。また、ボローニャ・プロセスの開始や欧州単位互換制度(ECTS)の創設に重要な役割を果たしており、当プログラムの成功がエラスムス・ムンドゥス(※1)の開始につながった。 2014年からはエラスムス・プラス(※2)という新しいプログラムを開始する予定。 |
リンク | https://erasmus-plus.ec.europa.eu/ ![]() |
正式名称 | Erasmus Mundus |
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策定主体 | 欧州委員会 |
策定(実施)年 | 2004-2008年(第1期)、2009-2013年(第2期) |
概略 | 欧州とそれ以外の国・地域間の高等教育機関における奨学金プログラム及び学術交流の実施を通じて、欧州の大学連携を強め、高等教育の質を高めることを目的とした計画。学生・研究者のグローバルな流動化(モビリティ)を促進させ、異文化間交流と対話の場を提供するプロジェクトを支援。EU内の高等教育機関の協力と人材交流プログラムであるエラスムス計画の成功を受けて始まった。
2004年から2008年の第1期は、以下4つのアクションへの支援を行った。
2009年から始まった第2期は、以下3つのアクションを支援している。
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リンク | https://erasmus-plus.ec.europa.eu/ ![]() |
正式名称 | Erasmus+ |
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策定主体 | 欧州委員会 |
策定(実施)年 | 2014-2020年 |
概略 | 2014年~2020年にかけて、最大500万人が他国での学習及び職業訓練/職業教育を受けられるようにするための助成金プログラム。現在欧州委員会が実施している、生涯学習や青少年部門での様々な助成金プログラムを統合し、より統一性と透明性を持たせることが狙いである。流動性(モビリティ)、教育とビジネスの協働、政策改革への支援の3つを主要アクションの柱とする。
Erasmus+から新たに実施される政策としては、以下のものがある。
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リンク | https://erasmus-plus.ec.europa.eu/ ![]() |
正式名称 | Erasmus+ 2021-2027 |
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策定主体 | 欧州委員会 |
策定(実施)年 | 2021-2027年 |
概略 | 教育、職業訓練、青年の育成、スポーツに関する国境を越えた移動と協働を支援するEUの助成金プログラムであるエラスムス・プラスの後続プログラム。2021年3月25日の欧州委員会の発表によると、新プログラムの予算総額は262億ユーロで、2014~2020年のエラスムス・プラスプログラム予算である147億ユーロを大幅に上回る。
増額された予算を通じて、「よりインクルーシブ(包摂的)に」、「よりデジタルに」、「よりグリーンに」という3つのコンセプトを実現することが狙いである。また、あらゆる年齢層、バックグラウンドを持つ1,000万人のヨーロッパ人の学びに関する人の移動と国境を越えた協力を支援する※。 3つのコンセプトのうち、「よりデジタルに」については、新型コロナウイルスの感染拡大により教育・訓練システムのデジタル化への移行がますます加速する中、教育におけるデジタル技術の発展を支援し、奨学金制度による質の高いデジタル技術習得のための教育訓練と人々の交流の機会を提供するほか、学生の留学先での学業等における諸手続きの一層のデジタル化と簡素化等を促進することが目指されている。
※ エラスムス・プラス2021-2027は欧州の学生の学びの経験の深化を特に目標として掲げているが、欧州以外の国・地域も参加することができる。詳細は以下を参照。 https://erasmus-plus.ec.europa.eu/opportunities/accessing-erasmus-opportunities-from-outside-the-eu なお、エラスムス・プラスに採択された全プロジェクトの情報は次のURLから検索できる。https://erasmus-plus.ec.europa.eu/projects
■エラスムス・プラス新プログラムの概要及び予算規模については、当機構の高等教育質保証の海外動向発信サイト掲載の以下の記事からもご覧いただけます。 https://qaupdates.niad.ac.jp/2021/06/18/eu-erasmus2021-2027/ |
リンク | https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_21_1326 ![]() |