米国の高等教育の国際化状況(Mapping Internationalization on U.S. Campuses 2012)調査報告書の公表

原典:American Council on Education(英語)

調査機関

American Council on Education(米国の高等教育機関を代表し、高等教育に関する課題への取組を通じ、政策提言や社会に対する意見表明を行う非営利の公益法人)

調査概要

  • 米国の高等教育機関の国際化の状況や動向、課題についてのオンラインアンケート調査
  • 全米の高等教育機関の国際化についての唯一の包括的な調査
  • 過去2回(2001年/2006年)実施、今回2011年の調査結果の公表
  • 適格認定を受けた学位を授与する米国の高等教育機関のうち、3,357機関が対象(回答率:31%)
  • 機関種別(Classification)は、カーネギー教育振興財団による大学分類の定義による大学分類の定義を採用

機関種別・回答数

※機関数は調査当時の数値
※回答率は機関数に対するものであり、アンケートの回答率と数値が異なる

Classification 機関数 回答数 回答率
Doctoral (Doctorate-granting Institutions) : 博士号授与機関(以下、博士)主に博士号取得を重視した大学院教育を提供する機関 294 176 60%
Master’s (Master’s Colleges and Institutions) : 修士号授与機関(以下、修士)主に修士号取得を重視した大学院教育を提供する機関 720 319 44%
Baccalaureate Colleges : 学士号授与機関(以下、学士)主に学部教育に重点を置く機関 796 214 27%
Assocciate Colleges : 準学士号授与機関(以下、準学士)主に準学士号を授与する機関 1,869 239 13%
Special Focus Institutions : 専門大学(以下、専門)主に専門教育を行い、学士号以上の学位を授与する機関 822 93 11%
All Institutions 4,501 1,041 23%

調査内容:国際化に向けた取組

  • 国際的な視点や目標を掲げた教育方針(国際教育やグローバル教育など)
  • 教育方針に資する具体な国際化計画
  • 国際経験を有した教職員数と質
  • 学生モビリティ向上のための取組
  • 国際的な共同教育プログラムの実施状況(JD/DDなど)

調査結果概要

米国大学全般では、国際化推進への取組がなされているものの、いくつかの分野において、その取組が不十分である。
  • 国際化への取組
    • 国際化への取組について推進されていると回答した機関の割合:
      博士(93%)、修士(84%)、学士(78%)、準学士(49%)、専門(56%)
    • 国際化を進める第一誘因として、学長のリーダーシップと回答した機関が29%を占めている。
    • 47%の機関が国際化のための予算が増大していると回答。
    • 国際化のためには、海外の大学、政府、企業との戦略的なパートナーシップ、留学生の受け入れ増加、国際系職員の採用が最優先課題とされている。
    • 教員の国際経験
      • 国際的ではない分野であっても、国際的なバックグラウンドや経験を採用の際に考慮すると答えた機関が急増。(2006年調査:32%→2011年調査:68%)
      • 教員の昇進やテニュア決定の際、国際的な業績や経験を審査対象とすると回答した機関の割合は前回の調査(2006)と変化していない。
      • 学生の国際化支援
        • – 全体で54%の機関が学士レベルのstudy abroad programを運営している。
        • →  内訳:博士(98%)、修士(85%)、学士(75%)、準学士(44%)、専門(13%)
        • – 60%以上の博士、修士、学士で学部留学生に対する奨学金等の財政的な援助を行っており、機関の割合も上昇傾向にあるが、準学士、専門の割合は低い。
        • →  内訳:博士(69%)、修士(64%)、学士(75%)、準学士(16%)、専門(21%)
        • – 国際的な動向や課題を扱った科目の受講を学部の卒業要件としている機関の割合は高くなっているが、特定の国の課題を扱う科目の受講を学部の卒業要件としている機関は減少傾向。
        • – 学部の卒業要件として外国語を必修としている機関は2001年の調査で53%であったが、2011年の調査では37%に低下。
        • – 大学の国際化の成果についてアセスメントを行っている機関の割合は上昇。
        • – 留学生の学習成果が上がっていると回答した機関の割合は上昇。
        • 海外の大学との交流
          • ジョイントディグリー、ダブルディグリープログラムや海外校の運営など、海外の大学との交流や海外の学生へのプログラムの提供は博士、修士で主に行われている。
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