中国:世界一流大学・一流学科の建設実施方法発表

出典:中国教育部

中国では1990年代から、世界水準の大学構築を目指す国家プロジェクトとして、「211プロジェクト」、「985プロジェクト」を実施し、100校以上の大学を選んで重点的に整備を進め、目覚ましい成果を挙げてきた。その一方、対象が長年固定化されてきたこと等に起因する弊害も出てきたことを背景に、2015年10月24日国務院から、これに代わるものとして「世界一流大学・一流学科建設全体計画」(原語:统筹推进世界一流大学和一流学科建设总体方案)が発表された。計画では、世界一流レベルになる大学と学問分野を段階的に増やし、今世紀中ごろまでに中国を規模・実力の両面で世界のトップレベルの高等教育機関を有する「高等教育強国」にするという目標が示された。

これを受け教育部、財務部、国家発展改革委員会の3機関が共同で専門ワーキンググループを設立し、これまでの大学への重点支援の経験を整理し、国内外の重点支援政策や高等教育改革の趨勢を研究し、座談会や書面による意見聴取により高等教育機関、地方レベルの教育行政部門、学術組織、有識者などの意見を幅広く聴取し、論証・修正を重ねた。その結果「世界一流大学・一流学科建設全体計画実施方法(暫定)」(以下「実施方法」とする)が策定され、2017年1月25日に教育部、財務部、国家発展改革委員会が連名で発表した。

「世界一流大学・一流学科建設全体計画実施方法(暫定)」

「実施方法」には、優秀大学・学科、国が必要とする分野、選考条件、選考プロセス、助成方式、管理方式、実施方法などが具体的に規定されている。

改善点

▪大学全体を強化対象とした「一流大学建設」と、特定の優れた学問分野を強化対象とした「一流学科建設」の2つのカテゴリーに分けて大学を選定する。これにより、ある特定の分野で優れた学科をもつ大学もこのプロジェクトに参加の機会が与えられている。

▪中央直属の大学、地方大学を問わず、同じ基準、同等の立場で選考を受けることとなる。オープンな競争を導入することで、大学の活力を引き出す狙いがある。

▪国内外の第三者評価結果をもとに、多様な客観的大学評価を形成する。

▪中間評価を取り入れ、業績に基づいて、助成金の調整を行う。

▪従来の211プロジェクトや985プロジェクトの採択校は一旦採択されれば固定されていたのと異なり、5年周期で選考が行われ、業績によって継続の可否が決まり、新規の採択もある。

選考プロセス

▪政府関連部門、高等教育機関、科学研究機構、業界組織などをメンバーとして、世界一流大学・学科建設専門家委員会を設立

▪専門委員会が認定基準を策定

▪認定基準に基づき、専門家委員会が採択候補案を策定し、教育部、財政部、国家発展改革委員会が採択校候補を確定する。

▪候補大学は、建設計画を策定し、専門家に委託し、建設計画の合理性、実行可能性を検証する。

▪大学の建設計画と、専門家の検証報告書は、大学が所属する地方政府、中央省庁の審査、教育部、財政部国家発展委員会の審査などを経て、最終的に国務院が決定する。

助成

中央直属大学には、中央政府が、地方所属大学には地方政府がそれぞれ財政支援を行う。

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