トランプ新政権における連邦教育省長官候補の公聴会を実施、未だ見えぬ高等教育政策

原典:The Chronicle of Higher Education(英語)

米上院健康・教育・労働・年金(HELP)委員会は、トランプ大統領が教育省長官に指名したBetsy DeVos氏の承認公聴会を、2017年1月17日に実施した。

1.連邦教育省長官候補DeVos氏の公聴会宣誓内容

DeVos氏は公聴会の宣誓において、生徒・学生の多様化に伴う公教育の多様性、教育へのアクセスといった問題への関心を示した。また、高等教育法の再授権1について議会及び利害関係者と協働すると述べた一方、教育を推進する上で連邦教育省の役割は限定的であることを示唆し、州や親の役割について殊更に取り上げた。

2.高等教育政策に対する言及

DeVos氏は学生ローン問題について「学費の高騰は意欲・能力のある学生を大学から遠ざけている。また、大学に進学した場合も、返済に数十年を要するローンを負うことになってしまう。」と問題意識を述べた。そして、より多くの学生が、より安価な高等教育を選択したり、専門職のような職業を追求することが解決になると提案し、「長期間、大学で学位を取ることはより良い生活のための唯一の道であると考えられてきたが、実際には、大学以外にも様々な高等教育機関があるので、それが唯一というわけではない。トランプ大統領と私は、職業訓練学校やコミュニティカレッジを含む全ての高等教育を支援する必要があると認識している。」と述べた。

一方でDeVos氏は、民主党議員より高等教育政策の関心事について積極的な質問が投げかけられた際には、明確な返答を見送った。例えば、オバマ政権時に制定した営利大学の規制をどうするかについては、具体的な回答はなかった。

3.連邦教育省長官候補への高等教育政策の提言

公聴会に先立ち、民主党上院議員Elizabeth Warren氏2は、1月9日にDeVos氏に対して教育政策に係る提言及びDeVos氏の立場を問う書簡を送っている。そのうち、高等教育政策に係る主な提言は学生ローンについてであり、その内容は以下のとおり。

学生ローンについて
    • 連邦教育省は学生にとって最も関心のある学生ローン問題に対応しており、新政権においても連邦教育省は学生ローン制度を効果的に運用する必要がある。
    • 学生ローンが学生にとって過度の負担であってはならない。この点、Trump氏も同じ意見であると理解しているが、連邦政府は学生からの返済によって利益を得るべきではない。
    • 議会は2010年に、奨学金を民間銀行が貸与するのではなく、連邦教育省が直接学生に貸与するようにするという大幅な制度改革を行った。Trump氏は民間銀行が奨学金を貸与する制度に引き戻そうとしているが2、連邦教育省は学生や納税者を保護するため、これらの政策に反対しなければならない。

※1 オバマ政権時における再授権の方向性については、こちら(本サイト 2015年4月17日投稿記事)参照。
※2 Elizabeth Warren氏は、2016年9月22日、Dick Durbin氏、Brian Schatz氏と共に、高等教育法を改正してアクレディテーションの効果の改善及びアカウンタビリティ向上を目指す法案(The Accreditation Reform and Enhanced Accountability Act)を連邦議会に提出した。現在、当該法案は上院 (HELP委員会にて審議されている。
※3 トランプ大統領の高等教育政策に対する考えは、こちら(本サイト 2016年12月20日投稿記事)参照。

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