上院HELP委員長が高等教育改革の方向性を提示

原典①:HELP委員会(英語)
原典②:Inside Higher Ed(英語)

米国上院で健康・教育・労働・年金(HELP)委員会の議長を務めるLamar Alexander議員(共和党)は、2015年3月23日に高等教育法の再授権に関する3種類の白書を発表した。白書では、アクレディテーション、連邦奨学金制度、連邦政府による高等教育データ収集の各テーマについて改革に向けた提案をしており、4月24日までの間の意見募集を行っている。HELP委員会は2014年6月に高等教育法改正の議論をするために改正案を発表(本サイト2014年7月18日投稿記事)しているが、2014年の中間選挙の結果を受けて委員長が民主党から共和党の議員に交代しているため、本格的な話し合いや採決は今年行われる見込みとなっている。

アクレディテーションに関する白書の内容は、大学の質に関する国家諮問委員会(NACIQI)が2014年12月にまとめた政策提言(本サイト 2015年1月13日投稿記事)にほぼ沿っており、1)質に基いた評価への回帰、2)競争とイノベーションの奨励、3)認定機関の独立性確保のトピック毎に下記の提案が挙げられている。特に、評価の結果を認定の可否だけでなく認定の程度に幅を持たせるようにしたり、歴史的背景から地理的な分割をもたらしていた地域アクレディテーション機関を廃止しようとするなど、現在の情勢に即した質保証制度へ向けた姿勢をうかがわせている。

アクレディテーション改革に関する提案

1)質に基いた評価への回帰

  • 機関の質向上と直接関係しないアクレディテーション関連諸規則を廃止する
  • アクレディテーション機関の認定に柔軟性と幅を持たせる
  • アクレディテーション結果に段階を設けるよう促す:例えば、基準を満たしている(meet standards)、優れている(with distinction)、とても優れている(greatly exceed standards)
  • アクレディテーションと連邦奨学金受給資格とは切り離す

2)競争とイノベーションの奨励

  • 新たな高等教育提供者のアクレディテーションや連邦奨学金受給資格を作る:短期間の訓練や、ムークによる科目提供、オンラインバッジの配布といった従来とは違う形で高等教育を提供する者を対象
  • 地域アクレディテーション機関を廃止する

3)認定機関の独立性確保

  • NACIQIの独立性を確保する:教育省の影響を制限し、独自の専門職員を持たせる

連邦奨学金制度に関する白書での提案では、リスク共有型の奨学金受給資格認定を掲げている。教育機関は、不履行となった債務を肩代わりするか、初めから一部債務の連帯保証人となることなどが提案されている。さらに、連邦奨学金の受給対象となっている教育機関が共同基金を設立し、債務の焦げつきに対して保険をかけることも視野に入れられ いる。また、今回の提案は「すべての」高等教育機関を対象とすることが明言されており、これまでのように例えば営利教育機関にのみが対象となる規制などは設けられないようだ。

データ収集に関する白書では、連邦経費の節約と教育機関の負担軽減のために、有用性の観点から収集するデータの削減を掲げている。この他にも、既存のデータを活用した消費者が役立つ情報の提供や、学生個人レベルでのデータ保存の禁止などを通じたプライバシー保護といった提言がなされている。

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