米国議会で高等教育法再授権へ向けた本格的な審議開始

原典①:The Chronicle of Higher Education(英語)
原典②:American Council on Education(英語)

2014年6月25日、米国上院(過半数が民主党)で保健・教育・労働・年金(HELP)委員会委員長を務めるTom Harkin民主党議員は、高等教育法の再授権を見据えた議論のたたき台となる法案を提出した。

この法案はHigher Education Affordability Actと名づけられ、教育費の適正化、債務者の救済、大学の説明責任強化と透明性改善に焦点が当てられている。HELP委員会は、改正法案を説明するためのサマリーも公表している。2014年1月の米国高等教育アクレディテーション協議会(CHEA)の年次総会において、Harkin議員は上院での法案通過の見通しを同年11-12月と発言している。

一方、下院(過半数が共和党)の教育労働訓練分科会のメンバーも、6月26日に高等教育法の改正案を提出。今回、以下の3つの法案が提出されたが、今後も細かい項目毎の法案が提出される見込みである。

  • Simplifying the Application for Student Aid Act:連邦奨学金制度を改革し、迅速な奨学金支給を行う
  • Strengthening Transparency in Higher Education Act:教育に関する決定に必要な情報への、学生のアクセス権を設定
  • Empowering Students through Enhanced Financial Counseling Act:連邦奨学金受給者へのカウンセリングにより、債務返済に関する知識を提供

また、同分科会は6月24日に”Strengthening America’s Higher Education System” と題した白書を公表しており、この中で改正法案の解説をしているほか、オンラインやコンピテンスベースの教育の推進、大学に課せられた規制の緩和を求めていく方針が明らかになっている。この中でアクレディテーションについての言及があり、アクレディテーションは連邦政府、州政府と並ぶprogram integrity “triad”の一部として重要であるとし、引き続き教育プログラムの質保証をする役割が求められている。

The Chronicle of Higher Educationの報道(原典リンク①参照)によると、上院は大学に対して説明責任を強制しようとしており、対して下院は政府の関与を最小限にしようとしている。上院案は消費者保護を重視した諸制度が提起されている一方、下院案はオバマ大統領の提唱する大学の指標制度に反対し、単位時間の定義廃止、卒業生の就職状況調査などを通じた政府による大学への関与の縮小が提案されている。

上下両院案で共通してみられるのは、連邦ローンの返済計画見直し、教員養成課程改革、ペル奨学金の通年募集が挙げられる。また、学生の奨学金制度に対する理解深化、大学受験者への分かりやすい情報提供などにも共通項が見られる。

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