原典:英国高等教育質保証機構(QAA)(英語)
英国高等教育質保証機構(QAA)は、2015年3月18日に、カリブ海諸国で提供される英国高等教育のレビュー結果や総評をまとめたレ ポート「Review of UK Transnational Education Caribbean 2014 Overview」を公開した。
●QAAが実施するTNEレビューとは
英国の多くの教育機関は、海外キャンパスや海外組織との提携により、高等教育プログラムを海外で提 供している。QAAは、通常実施している機関別の定期評価とは別に、こうした英国外で提供される英国高等教育(Transnational education: TNE)に対するレビュー活動を実施している。
TNEに対するレビューでは、毎年レビュー対象国を決め、当該国で提供している英国のいくつかの高等教育機関を対象に実施する。現地教育機関との連 携状況に着目しながら、英国の教育機関が英国内で提供するものと同じ教育水準と質を確保しているか、QAAのクオリティコード(B10:他機関と連携した 教育の管理・運営)に照らして評価するものである。
●カリブ海諸国で主流の英国教育提供形態は遠隔教育
英国当局の統計によると、カリブ海諸国(総勢20か国)において教育提供する英国高等教育機関は66機関、現地学生の数は約2.3万人に上る。そのうち、 58%の1.3万人がトリニダード・トバゴで学ぶ学生である。主流の教育形態の一つは、遠隔教育となっており、学生は、地元の学習センターに通学するか、 独学で学んでいる。
今次のTNEレビューでは、カリブ海諸国全体における英国高等教育の実態を把握しつつ、学生数と現地教育関係機関との提携数の多いトリニダード・トバゴに着目した。同国で教育提供する英国の6大学がレビューに参加し、訪問調査を経て個別のレポートがまとめられた。
【レビュー参加大学】 Anglia Ruskin Univ.、Univ. of Greenwich、Univ. of Hertfordshire、Univ. of Leicester、London Metropolitan Univ.、Univ. of Sunderland(以上6大学)
●レビュー総評
6大学のレビューの総評として、次のようなポイントが挙げられている。
<総評ポイント>
- 英国大学は、TNEに関する現地の規制や予算措置の制度変更や動向に通じておくことが必要。
- 教育提供に際して、QAAのクオリティコードのB10章に限ることなく、すべての章を教育水準・質の確保に活用していくべき。
- 現地の提携機関との責任分担を明確にした合意文書が、効果的な提携教育運営を促している。
- 提携機関側のスタッフの能力開発が多くの英国教育機関の優先事項となっている。
- 提携機関側の教員が質保証プロセスに関わることは、教学面の課題解決や質向上の文化醸成のために重要。
改善が必要と判断した大学には、改善への提言を示し、通常実施される機関別評価を次回受審する際に、この改善点をフォローアップしていくこととしている。なお、本レポートの巻末には、個々の参加大学に対するレビュー結果の概要が付されている。