原典①:欧州委員会(英語)
原典②:Education and Training Monitorサイト(英語)
報告書:Education and Training Monitor 2014(英語)
欧州委員会は、欧州地域の教育と職業訓練の現状をまとめた2014年版のEducation and Training Monitorを発表した。今回の報告書は、(1)教育投資状況、(2)資格とコンピテンスから見る教育による学習成果、(3)教育投資効率の向上と学習成果改善のための政策の方向づけ、の3つの視点からまとめられている。また、報告書とは別に、28ヶ国のカントリーレポートに加え、各国の取組み状況が可視化されたツールも公開されている。
ポイント
(1)教育投資状況
- 充分な資源と構造改革なしでは、教育パフォーマンスは期待できない
- それぞれの教育機関は、雇用可能性の強化に努めるべき
- 教育は、どのような差別や除外も許さず、万人に機会を提供するべき
(2)資格とコンピテンス※:教育の重要な成果
- 教育・訓練中退者の削減によって、膨大な公的、社会的コストも削減し、貧困と社会的除外から人々を守る
- 高等教育での、弱者層に対する進学機会拡大と中退削減には課題が残る
- 欧州全域で基礎的コンピテンスの低い達成度には、政策的行動が必要
- 現代の労働市場で生き残るためにも、教育による移動可能なコンピテンスの付与が不可欠
(3)政策の方向
<就学前と義務教育の質とインクルージョンの改善>
- 政策的行動では、早期幼児教育の重要性を認識すべき
- 教員養成は直ちに重点的に取り組むべき課題
- 先進的教授法の活用により、教育の質、平等性、効率の向上が期待できる
<高等教育と職業訓練の質と妥当性の強化>
- 高等教育資格とコンピテンスの質と妥当性の強化は喫緊の課題
- 職業訓練、実地研修、見習い制は、若者の失業対策と労働市場への参入のため、とても重要
<学習の継続の推進、支援、奨励>
- 学習の継続は労働者の生産性を増し、労働市場でのスキルの乖離とボトルネック化に効果がある
- 1人1人が流動的に学ぶために、透明性の改善と学習成果の認定をすすめるべき
背景
- 教育・訓練からの落第者を10%以下にする
- 30-34歳の40%以上を高等教育修了者にする
(これ以外に、就学前教育、STEM教育、就職率、生涯教育に関しても設定目標がある)
「欧州2020」の教育・訓練分野の戦略は、「教育と訓練2020(ET2020)」が採用されたものである。「ET2020」を具体化するために、「教育と訓練での欧州協調のための戦略的枠組みに関する欧州理事会結論」(2009年5月12日)と「教育と訓練での欧州協調のための戦略的枠組み導入に関する欧州理事会・欧州委員会共同報告書2012」が発表されている。この中では、各種指標に対する欧州ベンチマークの設定や、Education and Training Monitorの毎年の発行(2012年より開始)などが定められている。