海外キャンパスの成功と失敗:アデレードの事例

原典①:University World News(英語)
原典②:The Australian(英語)

University World Newsは、世界で展開される大学の海外キャンパスに関する成功例と失敗例を紹介している。ニューヨーク州立大学アルバニー校の”国境を越えた教育調査チーム”によると、現在世界中には220近くの海外キャンパスが存在しており、さらに22校が開校予定となっている。しかしその一方で、29校が既に閉校していることが分かっており、さらに、ユニヴァーシティカレッジ・ロンドン(UCL)のアデレード(オーストラリア)校も2017年の閉鎖が決まっている。

UCLアデレード校
UCLは2010年にアデレードにキャンパスを開校。資源・エネルギー分野の教育ハブとして、地元政府の強力な支援を受けていた。南オーストラリア州政府は、開校後7年間で総額450万豪ドル相当の支援を約束し、さらに石油ガス業界大手サントス社も5年間で1,000万豪ドルの支援をすると表明した。さらに、2011年にはUCLと鉄鉱石大手BHPビリトンとの間で、ロンドンとアデレードそれぞれに資源・エネルギー関連の研究施設を作る総額1,000万豪ドルの合意が結ばれた。UCLアデレード校には、これまで国内外から約100名の修士課程学生が在籍し、大学院レベルに重点を置く教育と研究を行ってきた。

閉鎖の理由
しかし、UCLは2015年1月に発表した声明の中で、州政府からの支援が切れる2017年に同キャンパスを閉鎖すると表明。その原因として、「学術と財政面で生じた困難さと、本学の国際化戦略の変更」を挙げている。しかし、地元の事情に詳しいジャーナリストの話では、州知事が交代し、新しい知事はアデレードを国際的な大学都市にする構想に乗り気でないことを指摘する。これを裏付けるように、OBHE (Observatory on Borderless Higher Education)がまとめた報告では、UCLの他の海外キャンパス(ドーハとカタール)では大学の戦略変更の影響は出ておらず、カザフスタンのナザルバエフ大学との提携にも変化は見られていない、とUniversity World Newsでは報じている。一方、The AustralianはUCLカタール校も1つのプログラムを除いて学生募集を停止する見込みと伝えており、原因はUCL本校の経営陣の交代によるとし、情報は錯綜している。

その他の失敗例
アデレード進出に失敗したのはUCLだけではない。英国の大学院大学であるクランフィールド大学は、2007年にアデレード大学と南オーストラリア大学との間に協定を締結し、この地にクランフィールド大学開発センターを開いた。ここでは、南オーストラリアにおいて成長が見込まれる防衛産業に特化して学生獲得を見込んでいたが、実際には同産業は発展せず、センターは閉鎖された。 2011年には、世界中で教育を展開するカプラン社が、アデレード大学と連携したオンライン課程の設立を目指すことを表明。この課程には、オーストラリア内外から5,000名の学生を獲得することを目論んでいたが、この提携は解消されている。なお、同社はその後、アデレード、ブリスベン、メルボルン、シドニーにビジネススクールを設立している。

カーネギーメロン大学
海外キャンパスの成功例としては、長い間の試行錯誤を経た現在も存続しているカーネギーメロン大学のアデレード校がある。同キャンパスは2006年に設立されたが、当初は学生獲得に苦しみ多額の損失を出したと言われている。しかし、開学から10年近く経った昨年、はじめて利益が計上された。

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