ゲイツ財団がリメディアル教育などへの優先的支援を表明

原典①:Bill and Mellinda Gates Foundation(英語)
原典②:Inside Higher Ed(英語)

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、2015年3月11日、高等教育分野の優先的支援事項を発表した。今回の発表は、同財団が掲げる「高等教育成功戦略」(下記参照)に則って策定されている。優先項目は4つに分けられ、それぞれ情報とデータ、経済支援、基礎学力、イノベーションと指標となっている。豊富な資金力で知られる同財団が打ち出したこの姿勢が、アメリカの高等教育改革に影響を与えることは必至である。

Inside Higher Edの報道では、今回のゲイツ財団の発表はこれまでの行動に基いており、唐突なものではないという。アメリカ高等教育への影響力が強いゲイツ財団やルミナ財団の研究で知られるScott L. Thomasクレアモント大学院教授は、今回の発表が現実的で具体的な方向性を示していると見る。特に、ゲイツ財団はここ数年現場の研究者や教員の声を反映した政策を進めており、今回の発表もと肯定的に捉えている。また、スペンサー財団会長のMichael S. McPhersonも、フィードバックに対して真摯に対応するように変化したゲイツ財団の最近の姿勢を評価している。

高等教育成功戦略 (Postsecondary Success Strategy)

  • 柔軟性(Flexible):時間・場所を選ばず学習して単位が取れるようにする。高校から大学、大学間、大学から生涯学び続けられる社会への移動を容易にする
  • カスタマイズ(Personalized):個々のニーズに沿った学習機会を提供するため、テクノロジーを用い、コミュニケーションを重視する
  • 費用適正化(Affordable):学習の進捗や就職状況も考慮した経済支援も交え、戦略的に資源を配分する
  • 明解さ(Clear):教育機関のパフォーマンスや学生の進捗データを収集し、継続した改善を支援するとともに、消費者・雇用者への提供と社会への公開を行う

支援事項

  • 情報とデータ(Data and Information):高等教育の制度改革を進め、社会が必要とする高等教育資格を提供できるように、すべての学生と教育機関を対象としたパフォーマンス指標のデータ収集が可能な全国的インフラを導入する
  • 経済支援(Finance and Financial Aid):連邦政府レベルでは、奨学金申請プロセスを簡略化し、教育プログラム毎に学生の卒業や就職実績に応じた支援を行う。各州においては、入学、進級、卒業/就職の実績に沿った公立教育機関助成を行い、特に、低所得者層や両親が大学卒でない者、社会人学生に重点を置く
  • 基礎学力(College Readiness):成果が出ないリメディアル教育手法を、実績のある方法に置き換えることを目指す
  • イノベーションと指標(Innovation and Scale):高等教育資格取得の時間を短縮し、仕事や家庭との両立が可能な教育プログラムの管理体制を支援することを掲げる。特に、下記の3領域に重点を置いた政策を打ち出す。
    • 新たな教育モデルー将来、連邦奨学金の支給対象となることが見込まれ、適切な質保証基準を充たす、オンライン型、ハイブリッド型、または時間単位によらない教育プログラム
    • 遠隔教育に対する州の規制―州認可協力協定(SARA)(本サイト2013/11/20投稿記事)による学生の遠隔教育受講要件の簡素化
    • 単位互換と編入―資格取得の時間短縮と単位の互換性向上のため、高等教育の分野を越えた単位互換/編入協定締結へ向けた州の取組み
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