博士課程における質の高い研究文化を維持するための提言書が公開

原典:欧州研究大学連合(LERU:League of European Research University)(英語)

2016年3月、オックスフォード大学、アムステルダム大学、ミュンヘン大学等、欧州における22の研究大学から構成される、欧州研究大学連合(LERU:League of European Research University*)は、研究大学の博士課程が質の高い研究を行う文化を持ち、維持していくための提言書「Maintaining A Quality Culture In Doctoral Education At Research-Intensive Universities」を発表した。
同提言書は、LERUに所属する大学での実践をもとに、多くの質保証メカニズムを示すことを目的としている。

提言書の概要
提言書では、質の高い研究を行う文化を醸成するための10の提言とその提言の実現のための質保証に求められる4つの必須要素を紹介している。
また、LERUに所属する大学の実践に焦点を当てながら、それぞれの大学の事例も紹介している。

提言書の内容

大学への提言

  1. 博士課程のプログラムは、学生が厳格さと誠実性(integrity)を持ちつつ研究できる、しっかりとした研究環境に設置するものとする。同時に、大学の使命として、大学は研究と研究教育の重要性の発信を主導していくべきである。
  2. 全体的な質保証サイクルの好循環を考慮した、少なくとも下記の必須要素を含む博士課程教育の質保証制度を構築すること。
  • 1)明確化された期待       2)透明性のある審査プロセス
  • 3)文書化された基準      4)フィードバックと質の向上のための効果的なチャンネル
  • 質保証は、博士課程の学生一人一人の成果のみならずプログラムや課程についても、各研究者が関与するあらゆるプロセスについてレビューするべきである。
  1. 成果の質のほか、研究環境の質についても考慮するレビュープロセスを確保すること
  2. 上記のプロセスには透明性があり、その情報に容易にアクセスできること
  3. 大学内外のグッドプラクティスに注目し、活用していくこと

4つの必須要素

  1. 博士課程の学生、教員、大学の制度等、博士課程の教育におけるあらゆる対象に期待する水準の設定
  2. 上記の期待する水準を満たしているか判定するための、課程や研究組織、それら組織の制度や学生、監督者に対して行う審査プロセスの設定
  3. 厳格さ、研究成果の質、社会における博士取得者の価値、費用対効果、最適な人材開発等、質を測る上で重要な指標(key quality indicator)の測定
  4. 審査の後に改善を図るための行動計画や追加的なレビュー等、制度の是正と向上の促進を目的としたフィードバックの体制の提供

また、上記の要素に伴って、博士課程における質保証は以下の3つの視点に分類され、それぞれの視点は、研究環境と関連させて考えるべきである。

3つの視点

  1. プログラムや課程、研究組織、機関の中で実施されている博士課程教育の質保証の構造的、行政的な側面(ex. 適切な人を募り、プログラムを通じて適切な支援を受ける)
  2. それぞれの博士課程の研究教育の質(ex. 博士課程で学ぶ学生をチャレンジングで刺激的な環境に取り込み、適切な時間を割いて学生のために貢献できる監督者による指導を受けられるようにすること)
  3. アウトプットの質の向上と審査(ex. 社会に対する説明責任を果たし、未来の雇用主のために、博士課程は、研究において特定の基準を満たすようにすること)

* LERU:League of European Research Universityの構成大学
アムステルダム大学、ケンブリッジ大学等、22の欧州の研究大学から構成され、2002年に設立された。国際的に競争性のある研究環境において、高い質の教育に対する価値観を研究大学で共有することを目的としている。

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