- 学生が学位取得を目的として学外活動から得たコンピテンスを、高等教育機関が検証することを保証する制度の確立を、高等教育機関に求める政令が成立
- 検証方法等の制度内容は任意だが、ECTSへの互換やディプロマサプリメントの作成等が想定される
2017年5月10日、「学生の地域的・社会的・職業的活動への参画の検証」についての政令(Le décret n° 2017-962 relatif à la reconnaissance de l’engagement des étudiants dans la vie associative, sociale ou professionnelle)が成立した。本政令は2017-2018年から適用され、2017年1月29日に制定された「フランスにおける平等と市民性に関する法律」第29条を補足し、学生が地域的・社会的・職業的活動に参画して得たスキル・知識等のコンピテンスを、フランス国内の全ての高等教育機関において検証することを保証する制度を各高等教育機関に確立するよう求めるものである。
ここでいう地域的・社会的・職業的活動とは、1901年のアソシエーション法で定められたアソシエーション(非営利団体)での活動や、兵士・消防士をはじめとした市民サービスやボランティアの任務等が挙げられる。
なお、本制度は各高等教育機関が責任を持って確立、実施することが求められている。検証方法等の制度内容は任意となっているが、学生が得たコンピテンスのECTSへの互換やディプロマサプリメントの作成が想定されている。
今回の政令は、高等教育機関に所属する学生の学外活動が対象となっているが、フランスでは一定の条件を満たす者が、職業専門的な経験に基づいて証書を取得できる既習得学習に関する制度:社会経験制度(以下VAE)が確立されており、年齢・就学レベル・地位に関係なく誰に対しても適用される。2002年に制定された社会現代法では、「実生活に従事する者はすべて、証書、職業志向の学術上の称号、または職業資格の取得に関して、経験、特に職業専門的な経験を通じて習得した能力の認定を受ける権利を有する」と規定されている。VAEは、3年間の経験が必要であるが、取得を求める職業資格証書が全国職業資格総覧(RNCP)※に掲載されているものである場合は、資金提供を受けることも出来る。
原典:フランス国民教育・高等教育・研究省(仏語)