ISO21001:教育機関のマネジメントシステム規格が2018年に公開予定

現在、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)の加盟機関により、教育機関のマネジメントシステムであるISO21001は、最終案について投票が行われており、2018年初旬に公開予定となっている。
ISO21001は、あらゆるレベルの教育機関が対象となっており、大学等の高等教育機関もその範囲に含まれる。

ISO21001は、ISO9001(品質マネジメント)をベースに策定されており、教育機関が効果的な教育マネジメントを実践し、ステークホルダーのニーズと期待を把握し、実現することを可能にするための規格となっている。

ISOとは

ISOは、スイスのジュネーブに本部を置く非政府組織で、参加国(163ヵ国、2016年12月)からそれぞれ1機関が加盟する国際ネットワークである。ISOの目的は、国家間の製品やサービスの円滑な交換のための標準化活動の発展の促進であり、ISOが策定した国際標準規格がISO規格と呼ばれており、2万以上の規格が存在している。

代表的な規格として、ISO9001(品質マネジメント)がある。
ISO9001が要求していることとして、一貫した製品・サービスの提供と顧客満足の向上のため、組織が品質マネジメントシステムを確立、文書化、実施、維持すること、また、その品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善することがある。企業や官公庁のほか、教育機関がISO9001を取得する事例も多くある。

ISO21001の原則

  • 学習者やその他のステークホルダーのニーズに焦点を当てる
  • 将来展望を持ったリーダーシップ
  • 市民の関与
  • プロセスアプローチ
  • 改善
  • エビデンスベースの決定
  • リレーションシップマネージメント
  • 社会的責任
  • 可用性と公正性
  • 倫理に則った行為
  • データの安全性と保護

ISO21001の特徴

ISO21001とISO9001の大きな違いは、ISO21001には顧客(学習者)だけでなく、その他のステークホルダーの存在がある。
ISO21001は、教育機関が学習者だけでなく、その他のステークホルダーのニーズや期待に応えることを要求している。高等教育においては、その他のステークホルダーとは、特に、学習者の家族、労働市場及び政府を意味する。

また、ISO21001では、サービスの提供の他、社会的責任、アクセシビリティ、倫理的責任、情報保護についても考慮されている。

purpose of iso 21001

(出典:Standardising Management Systems for Educational Organizations – implications of ISO 21001 for European Higher Education,Anthony F. Camilleri)

ESGとの関係

ISO 21001に沿って機関のマネジメントシステムを構築することは、欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(ESG:Standards and Guidelines for Quality Assurance in the European Higher Education Area、参考:NIAD-QE国際課まとめ)が求める要件に準拠したシステムであることにもつながる。

ISO21001は、ESGの第1部「内部質保証に関する基準とガイドライン」をカバーしているが、ESGの代替となるのではなく、教育機関が効果的な教育マネジメント実践へのコミットメントを示すための有用なツールと考えることができる。ISO 21001は、特に、ESGに沿ったマネジメントシステムの「実装、監視及び改訂」に関する基準を必要とする機関に有用な規格となっている。

原典:Standardising Management Systems for Educational Organizations – implications of ISO 21001 for European Higher Education,Anthony F. Camilleri(英語)
原典:ISOの概要,日本工業標準調査会(JISC)(日本語)
原典:ISO9001についての,日本工業標準調査会(JISC)(日本語)

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