日本が「東京規約」を締結
高等教育に関する資格の同等性を締約国間で承認
あと1か国の締結で発効する
日本政府は2017年12月6日に、「高等教育の資格の認証に関するアジア太平洋地域規約」への加入書を国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長に寄託した。ユネスコによると、これで同規約を締結した国は4か国*となり、発効に必要な締約国数にあと1と迫った。この規約は、ユネスコが主導した国際会議の開催地にちなみ東京規約と呼ばれている。
*すでに批准している国は、オーストラリア、中国、ニュージーランド、日本
主な内容
東京規約が発効すれば、締約国は学位などの学術資格のレベルを互いに認め合うことになる。こうした資格の相互認証により、外国での進学や就職の手続きの簡素化が期待されている。また、締約国には難民やそれに類する状況にある者などに対する特別な配慮が求められ、証明書類が充分そろわない場合でも資格審査を受けられるよう努力しなければならない。
国内情報センター
東京規約を締結した国は、「国内情報センター」を設立することになっている。このセンターの形態はさまざまで、省庁の一部門が担うこともあれば、政府からの資金を受けた独立機関が担う国もある。
また、すでに同センターが整備されている欧州・北米地域では、センター間の密なネットワークによってさまざまな取組がなされている。例えば、資格審査を行う大学向けの資格審査マニュアルの開発(本サイト2014年12月26日掲載記事)や、難民の持つ資格の審査で用いる欧州共通の「資格パスポート」の試行(本サイト2017年4月26日掲載記事)などが行われている。
当機構でも、日本に国内情報センターが設立された場合にどのような機能が求められ得るか、国内外の関係者に調査を行った(NIAD-QE国際連携ウェブサイト)。その結果、日本の国内情報センターへの具体的なニーズが明らかになった。特に、全国の資格審査担当者(例えば大学の入試担当者など)を集めたコミュニティの形成や、専門人材の育成を行うといった、先導的な役割に対して高い期待が寄せられた。
世界に広がる動き
今回の東京規約は、1983年に採択された「アジア・太平洋地域における高等教育の学業、卒業証書及び学位の認証に関する地域条約」が改訂されたものである。世界の各地域では、ユネスコが主導する同様の条約が次々と改訂されている。欧州・北米地域では「リスボン認証条約」(1999年)が、アフリカ地域は「アディスアベバ条約」(2014年)が改訂条約に該当する。それ以外の地域でも作業は進められており、2019年までに中南米地域とアラブ地域の条約も改訂される見通しである。