評価制度への雇用者の参画―卒業後に活かせる学びをともにデザインする

欧米では、高等教育やその評価について、産業界からの意見を反映させることが求められています。

米国では、大学の教育プログラムを評価する「専門アクレディテーション」が実施されており、そこでは各分野の産業界からの専門家(技能者や雇用者等)が評価機関の意思決定に参加し、評価基準を策定・改訂したり、訪問調査チームに参加したりと、多様な方法で参画しています。また欧州では、例えばバルト三国のエストニアでは、大学の教育プログラムを評価する「プログラムグループ評価」が実施されており、訪問調査の一環として雇用者面談を行い、学習成果を判断するためにその卒業生の特徴を聞いたり、教育機関へフィードバックするため対象プログラムへの意見を聞いたりしています。

こうした動向の背景には、各国の社会経済事情があります。米国では学費が高騰し、教育ローンによって高等教育を受けた学生の債務返済能力、つまり卒業生の学習成果・就業力が厳しく問われています。全米の教育ローン債務の総額(1.4兆ドル)はクレジットカードローン債務の総額を上回っていますから、この問題に対する国民の関心はとても高いのです。一方エストニアは、人口約130万人の小国ですので、学生は高等教育を通じて広くEU圏で生き抜くための就業力や国際競争力を身に付けることが求められています。

もちろん、高等教育では教育機関の自治が認められていることから、基本的に教育・研究活動は教育機関自らが自律的に展開しています。産業的な実用性はあくまで高等教育の価値の一面です。しかしながら、日本においても2019年より専門職大学が開学する等、産業界が求める学びを提供することは、今の高等教育に求められている役割として最近注目されているといえるでしょう。

米国という大国と、エストニアという小国。両国の国内事情は異なるものの、高等教育に求められている役割は似ています。高等教育における課題がグローバルなものとなっている表れです。例えば、人工知能(AI)の登場によって既存の雇用が世界的に激減するとの予測があります。これに高等教育はいかに対応していくかという問題提起は、国内・国外問わずあらゆる議論の場でなされています。日本においても、産業界からの意見を取り入れる重要性はさらに高まりつつあるようです。

(文責S・A)

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