2019年2月1日よりオランダで新たな高等教育評価枠組が始動した。今回の改正によって、プログラムの適格認定が「無期限」に認められるなど、特に既存のプログラムの評価が大学に委ねられるようになった。また、これまで4段階で行われていた評価判定が3段階に変更された。
オランダの高等教育質保証制度
オランダの主な高等教育機関評価は、プログラム評価(義務)と機関別オーディット(任意)の2つである。プログラム評価で適格と判定されたプログラムは、CROHO(Central Register of Higher Education Study Programme)と呼ばれる高等教育プログラム登録簿に登録され、学位を授与できるようになる。機関別オーディットの受審は任意であるが、適格と判定された場合、プログラム評価でみられる基準の数が減るなど、評価負担の軽減が行われる。
これらの評価は、オランダ・フランダースアクレディテーション機構(NVAO)が行っている。オランダの質保証制度の詳細については、こちら(国際課まとめ)(p.18-32)。
新高等教育評価枠組のポイント
1)「無期限」の適格認定(既存のプログラム)
これまでプログラム評価の適格認定期間は6年間であったが、この度の改正によって既存のプログラムについてのみ、適格認定が無期限で認められるようになった。この適格認定を受けたプログラムを有する高等教育機関は、6年に1度、各プログラムの評価レポートをNVAOに提出すれば、改めてこの評価を受審する必要がない。
さらに既存のプログラムの評価レポートの作成にあたっては、他の評価とは異なり、NVAOから派遣されるコーディネーターを置くことなく、各高等教育機関主体で外部評価を実施できる。NVAOの承認が必要ではあるが、高等教育機関が評価委員を選べるなど、高等教育機関側に大きな権限が認められることになる。
2)評価判定方法の変更
これまで既存のプログラムの評価の判定は、4段階(Excellent、Good、Satisfactory、Unsatisfactory)で行われてきたが、今後は以下の通り3段階で判定されるようになった。なお、新規プログラムの評価の判定は以前から3段階であったが、この度既存のプログラムに合わせて、総合判定の判定ルールが変更となっている。評価基準等、プログラム評価の詳細については、こちら(国際課まとめ)(p.25-30)。
基準ごとの判定:Meets the standard(基準を満たしている)
Partially meets the standard(基準を部分的に満たしている)
Does not meet the standard(基準を満たしていない)
総合判定:Positive(適格)、Conditionally positive(条件付適格)、Negative(不適格)
<判定ルール:評価基準は全11基準(ただし、機関別オーディットで適格認定を受けた場合は全4基準)>
- 総合判定「適格」:すべての基準において「基準を満たしている」の判定である。
- 総合判定「条件付適格」:基準1※1を満たし、かつ条件付きの「基準を部分的に満たしている」との判定が5 (2) ※2 基準以下であること。
- 総合判定「不適格」:以下の状況である場合
-1以上の基準において「基準を満たしていない」の判定がある場合
-基準1※1が「基準を部分的に満たしている」の判定である場合
-条件を付されることなく、1~5 (1~2)※2 の基準において「基準を部分的に満たしている」の判定である場合
-「基準を部分的に満たしている」の判定が6 (3)※2 基準以上の場合。
※1 基準 1:プログラムのレベル、目的と結びついた、身に付けることが期待される学習成果を示し、専門分野や原則、国際的な要件にも連動していること。
※2 ()内は機関別オーディットで適格を認定された場合