【高校生のための大学の講義】アメリカのコンカレントプログラムと唯一の質保証機関

コンカレントプログラムは、高校で行われる高校教員による高校生のための大学の講義

修了者には協定先の大学が単位を付与する

NACEPがコンカレントプログラムを行う大学に対して適格認定を実施

アメリカでは高校生が在学中に大学の科目を履修し単位を取るためのさまざまな仕組みがある。その1つであるコンカレントプログラムは、全国コンカレントプログラム協定連合(NACEP*1)によって教育の質が保証されている。

コンカレントプログラムの特徴

コンカレントプログラムとは、大学と高校間の協定に基づき、大学が認めた高校教員が高校の教室で行う大学教育を指す。大学本校と同じ内容の教育と試験が行われ、プログラムの修了者には本校による成績と単位が与えられる。高校生のうちに大学レベルの学びが提供されることは、学習意欲の充足や進学体験の機会となる。さらに、在籍する高校が場所と教員を提供するため、大学のリソース負担が少なく、学生も移動の時間や費用の節約につながる。授与された大学の単位は、その大学に進学した場合はもちろん、単位認定によって他の大学でも学位取得に近づける可能性がある。

アメリカでは、この他にも大学の教員による出張講義や高校生が大学に通って受講する講義という形式も存在する。さらに、大学レベルの科目と試験を在籍する高校で受けられるAP (Advanced Placement)も全米で広く行われている。

日本での事例

日本でも一部の大学では高校生に対して科目の履修を認め、修了者には単位を与えている。明治大学は学校の推薦を受けた付属明治高校の3年生に対し、12単位を上限とした大学の授業科目の履修を認めている。獨協大学では連携協定を結ぶ23の高校に通う2年次と3年次の生徒に対し、1人あたり2科目を限度に単位習得目的の科目履修を認めている。早稲田大学では国内高校の2、3年生を対象に、1回の募集で1科目を限度として履修を認め、修了者に単位を発行している。杏林大学の場合は、高校生を対象とした夏季集中科目を開講し、修了者には同大学だけでなく桜美林大学など3つの協定校でも認定される可能性のある単位が付与される。

これら日本の事例はいずれも高校生が大学に通学する形で開講されており、平日の5限目や土曜日、夏季に開講される科目が対象となっている。また、単位の正式な付与はそれぞれの大学に入学してから認定される。これに対し、アメリカのコンカレントプログラムは高校の校舎と教員が活用され、修了後すぐに単位が付与される点が異なる。

NACEPによるコンカレントプログラムの質保証

コンカレントプログラムは大学の講義に参加できる高校生の数と時間の制約が緩和できる。しかし、本校から離れた場所で高校の教員によって開講されるため、教育の質に懸念が生じる可能性がある。

そこで、コンカレントプログラムを提供する大学によって1997年に発足したNACEPは、高校で行われる講義の質を保証するための適格認定を行っている。適格認定は大学ごとに行われ、6つの領域*2・16の基準をもとに対象プログラムが評価を受ける。評価は書面調査と聞き取り調査で構成され、2021年からは訪問調査が必須となる。適格認定により、高校で開講される科目、受講生、教員が大学本校と同質であることがエビデンスをもって証明される。2019年4月に発表された前年の評価結果では、7機関が初期認定を受け16機関が再認定された。このほかの結果は表の通りとなっている。

結果 機関数
初期認定 7
再認定 16
再審査による再認定 3
1年の期限付き認定 4
初期認定却下 2
再認定却下 2
結果保留 4

表:2018年に実施された評価の結果と対象機関数(NACEPの発表をもとにNIAD-QE国際課が作成)

2019年5月現在、NACEPにはアメリカ48州から479の大学や79の高校らが加盟している。また、同機関の適格認定を受けた大学は112校に上る。これらのうち2年制の公立大学が72校、4年制の公立大学が32校、4年制の私立大学が8校となっている。

*1NACEP: National Alliance of Concurrent Enrollment Partnerships
*26つのカテゴリー:協定、教員、評価、カリキュラム、学生、プログラムの評価

原典:NACEP (英語)
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