カリフォルニア州、ハワイ州、米領太平洋諸島を管区とする地域アクレディテーション機関の西部学校・大学協会の大学委員会(WSCUC:WASC Senior College and University Commission)は、broaden our reachと表現する、従来管区としていた地域外から適格認定の申請を受け付ける方針(2020年2月26日付)を公表した。
この方針は、WSCUCにおいて2月14日に満場一致で決議されたものであり、これは、2020年7月1日に米国連邦教育省が導入する適格認定や遠隔教育に対する州による認定に関する規則において、「適格認定の業務に当たっての地理的領域に基づいたアクレディテーション機関間の根拠の無い区別をやめることにより、公平な競争の場をつくる」とした点を受けたもの。
同委員会によれば、管区外からの申請受付は、WSCUCから適格認定を受けている又はそれと関係のある教育機関に限定し、管区外の高等教育機関から広く申請を受け付けるものではないとしている。この要件には、既にWSCUCにより適格認定を受けた大学が、管区外への大学本部の移転や教育機関の新設を希望する場合などが該当する。また、このような機関からの要望も実際にあったとされ、従来の管区にとらわれず適格認定を行う方針に対する高等教育関係者からの反応は比較的良いとしている。
米国高等教育アクレディテーション協議会のJudith Eaton会長は、この管区を越えた適格認定について、「地域アクレディテーションにとっての重要な発展」で、認定対象を広げるアクレディテーション機関の実現可能性については数年来の議論があり、「これはCHEAが働きかけていたアクレディテーションにおける革新的な事例」で「WSCUCの経験から学ぶことができる」との意見を高等教育分野に主に扱うオンラインニュース社Inside Higher Edの記事の中で寄せている。
別のオンラインメディア(Education Dive)は、WSCUCの方針について、地域的な制約を撤廃することにより教育機関がより簡易に適格認定を受けることのできるアクレディテーション機関を選択することで教育機関に対する監督が緩むほか、アクレディテーション機関が機関間の競争に注力することによって、教育の質に対する監視が低下するといった左派系シンクタンクのCenter for American ProgressやNew Americaからのコメントを取りあげている。