2025年3月、中国教育部は国家衛生健康委員会※1と共同で「高等職業教育における医療・介護管理の専攻※2の構築強化に関する通知」を公表した。急速に進む高齢化を背景に高齢者の様々な健康問題と介護の需要に対応することを目的として、職業本科課程(学士課程に相当)※3の専攻である「医療・介護管理」を充実させることで専門人材の育成を急ぐとしている。
※1 国民の健康、医薬、衛生、高齢化、家族計画(原語:生育计划)等に関する政策を研究・策定する中央人民政府の機関。(国家卫生健康委员会、内设机构和人员编制规定)
※2 医療・介護管理(原語:医养照护与管理)とは主に健康問題を抱える高齢者ケア及びその組織の管理について学ぶ専攻である。詳しくは本記事最後の囲み「医療・介護管理専攻の人材育成目標」を参照。
※3 本科課程は普通本科課程(学術型、応用型大学で提供)と職業本科課程(職業大学又は職業技術大学で提供)に大別される。詳しくは「中国の高等教育・質保証システムの概要」(第2版)p.16 表4を参照。
「高等職業教育における医療・介護管理の専攻の構築強化に関する通知」の主な内容
1.専攻の設置と管理
(1)職業本科課程「医療・介護管理」専攻への進学ルートを整備する。
- ▫各地方(省・自治区・直轄市)の職業本科学校(職業技術大学、職業大学)に医療・介護管理専攻を設置する。また、一貫性のある教育を実施するため、専科課程において、健康管理、老年保健管理、スマートヘルス介護サービス管理を専攻した学生が、職業本科課程に進学して医療・介護管理を専攻することを推奨する。
- ▫条件が整う職業教育機関では、中等職業教育・専科教育・職業本科教育の一貫教育の構築を模索することが望ましい。
(2)専攻の構築・管理の計画及び方法を改善する。
- ▫高等職業教育機関が、地域の医療・介護の需要、人材需給状況、教育機関の運営の実情にあわせて医療・介護管理専攻の設置を計画する。
- ▫学術型及び応用型の大学で提供される普通本科課程の医療衛生分野の専攻と職業教育本科課程の専攻である医療・介護管理専攻が、連携してより良い専攻の構築を目指す。
2.専攻内容の充実
(1)人材育成計画を改善する。
- ▫各地方政府が、医療・介護管理専攻の人材育成、カリキュラム、教育方法、専攻などの教育運営に関する指導を強化する。
- ▫各地方政府は、職業教育機関が医療・介護機関、高齢者専門病院、リハビリテーション病院等と連携して、医療・介護管理専攻の人材育成計画を作成するよう指導する。実践教育の授業時間数を50%以上とし、就職に役立つ能力を身に付けるよう計画する。
(2)コアカリキュラムを開発する。
- ▫職業教育機関は、就職に必要とされる能力についての調査研究、医療衛生サービス機関との協働による専攻のコアカリキュラムの開発、指導要領の研究及び作成を行う。
- ▫学生が在学中に職業技能資格を取得したり、技能コンテストに参加することを奨励する。
(3)質の高い教材を作成する。
- ▫教育機関と医療衛生サービス機関が協働で医療・介護管理専攻の教材を作成する。
- ▫教材は、実務内容を基に、プロジェクト、任務、活動内容、事例で構成する。デジタル教材を開発するなど、学生の多様な需要に応えるようにする。
(4)優秀な教員チームを育成する。
- ▫各地方政府は、医療・介護管理専攻の理論教育と実践教育の両方を兼ね備えた(双師型)教員チームの構築に努める。
- ▫医療衛生サービス機関の高い専門性を持つ人材が職業教育機関で兼任教員として勤めると同時に、職業教育機関の教員が医療衛生サービス機関で実践的な研修を受けられるようにする。
(5)人材育成モデルの革新を行う。
- ▫採用する人材の育成モデルの改革を推進し、産業と教育の融合、医療と教育の協同、教育機関と企業の連携を推進し、業界の需要に合った人材育成を行う。
- ▫医療衛生サービス機関と職業教育機関が研修契約を結び、学生の実習ポストの設置及び教育実践活動の場を確保する。
- ▫職業教育機関は、高齢者の自立能力評価・健康管理・トータル介護など、実際のサービスを提供する訓練の場を機関内に設ける。
3.実施方法
- ▫各地方の教育行政部門、衛生健康行政部門が協力して医療・介護管理専攻の構築を推進し、構築へ向けた支援を行う。
- ▫北京市、河北省、黒龍江省、江蘇省、浙江省、江西省、山東省、広東省、広西チワン族自治区、四川省の10省(自治区、市)を重点地域に指定する。
- ▫各重点指定地域には、2025年末までに職業教育機関1校が新規で医療・介護管理専攻を設置し、2027年末までに3校以上が新規で医療・介護管理専攻を設置する。重点指定地域が全国の医療・介護管理専攻の構築を牽引し全体のレベルの向上につなげていく。
医療・介護管理専攻の人材育成目標
高齢者生活ケア、慢性疾患管理、リハビリテーション・健康管理、イベント活動の企画、組織の運営・管理、関連法規の知識を習得するとともに、高齢者の総合的評価、高齢者健康管理、ホスピスケア、医療と介護の総合管理能力等を養う。そして、命を敬い、献身博愛の精神で救護に従事し、情報リテラシーをもって、高齢者の健康と疾病を管理し、医療・介護機関の運営・管理の業務に従事できる人材を育成する。
【出典】職業教育専攻紹介(2022年改訂)
検索方法:職業教育専攻紹介>高等職業本科専科>医薬衛生(原語:医药卫生大类)>健康管理促進(健康管理与促进类)>医療・介護管理(医养照护与管理)







