ベルギーの一部地域にて学位認証に関する法令が改正

原典:欧州高等教育アクレディテーション協会(ECA)(英語)【※2015/5/22時点リンク切れ】

ベルギーのフランドル共同体※1議会は、2013年7月10日、海外学位に対する広範な認証権限をフランドル共同体政府に付与するために、「教育に関する法令※2:Decreet betreffende het Onderwijs XXIII」を改正した。

この改正により、共同体は外国学位について、①学位(準学士、学士、修士、博士)水準の同等性、②完全な認証を行うための新たな仕組みを策定することができる。

法改正の内容

①学位水準の同等性(level equivalency)

本法令の改正により、ベルギーの各大学は、欧州地域内にある外国の学位(準学士、学士、修士、博士)を、比較することなくベルギー国内の学位(準学士、学士、修士、博士)と同等の資格水準にあると認証することが可能となる。

(学位水準の同等性が認められる条件)
対象国・地域の高等教育の質保証システムが欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(ESG)に合致している。(当該高等教育質保証システムが、学習成果の達成度を検証可能な方法で測定している。)対象国・地域の高等教育の学位構造が、国家(地域)資格枠組みに統一されており、2005年ベルゲン会合にて採択された欧州高等教育圏の資格枠組みに合致している。なお、欧州高等教育圏の資格枠組みと、当該国・地域の資格枠組みの互換性は、国際的なレビューを受けていることが必要となる

②完全な認証(full recognition)
政府は、学位の授与に至った学習成果に関し、比較を行い、当該国の学位の水準(準学士、学士、修士、博士)と、分野種別(例;法学、経済学、文学、工学、情報学等)の両方について、ベルギー国内の学位との同等性を認める。(例;工学修士)
その他
欧州質保証機関登録簿 (the European Quality Assurance Register for Higher Education:EQAR※3)に含まれる質保証機関のアクレディテーションを受けているプログラムが授与する準学士、学士、修士は自動的にベルギー国内の資格との同等性が認められる。
この改正は、フランドル政府が関連立法を行うことで、初めて効力が生じる。

制定の目的

  • 欧州圏にある外国の学位に対する認証を推進する
  • 認証に係る経費の抑制
  • 欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(ESG)への順守性の確保
  • フランドル共同体におけるNARIC(National Academic Recognition Information Centres:各国の学術認証情報センター)の機能の向上

※1 フランドル共同体は、ベルギーの3つの言語共同体のうちの一つである。ベルギーは連邦国家制度を取っており、連邦政府、地方行政政府、言語共同体という3つの形態で区分される。そのうち言語共同体は、フランドル共同体、フランス語共同体、ドイツ語共同体の3つに分かれている。言語共同体は、固有の議会と政府を有している。また、各言語共同体政府はそれぞれ教育に関する権限を有し、言語共同体ごとに教育省が存在している。

※2 言語共同体議会は、法律に替わり、法令(decreet)を定めるものとされる。法令は、連邦政府の定める法律と同等の効力を有する。

※3 EQAR:欧州における質保証基準およびガイドラインに沿って活動する欧州質保証機関のリスト

参考
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