EQArepが質保証報告書の利用と有用性に関する報告書を公表

報告書:スイス高等教育評価・質保証センター(Swiss Center of Accreditation and Quality Assurance in Higher Education:OAQ)(英語)

欧州質保証ネットワーク(ENQA)が主査を務め、2012年10月1日より開始された「質保証の情報公開を通じた欧州高等教育の透明性向上のためのプロジェクト」(Transparency of European higher education through public quality assurance reports: EQArep)(本サイト2013/2/27投稿記事)において、質保証報告書に関する欧州高等教育圏の現状把握の一環として行われたアンケート調査の結果が、事業参画団体の1つであるスイス高等教育評価・質保証センター(Swiss Center of Accreditation and Quality Assurance in Higher Education:OAQ)より発表された。

「質保証報告書の利用と有用性 – EQArepプロジェクト・ワークパッケージ3における最終報告書」(Use and Usefulness of Quality Assurance Reports) と題された本報告書は、本プロジェクトのワークパッケージ3「質保証結果の公表に関する調査 -目的・構造・内容-」の調査結果を取りまとめたものである。本調査では、質保証のプロセスの成果である「報告」の部分の現状分析を目的とし、質保証報告書の3つの要素(「目的・構造・内容」)に着目した調査が行われた。

調査方法

ENQAに所属する全ての会員機関に対し、アンケート調査を行った(2013年夏送付)。対象は86機関(正規会員41機関、提携45機関)であり、回答数は50機関であった。

質問項目カテゴリー

下記7つのカテゴリーで、31個の質問項目が用意された。

  1. Type of assessments conducted and reports published
  2. Purpose of publication and intended/desired readership
  3. Editing and publication practices
  4. Structure
  5. Content
  6. Usability and utility
  7. Perspectives

結果概要

    下記の観点から、比較・分析を行った。

  • 機関別評価(institutional review) vs プログラム評価(program review)
  • 総合報告書(comprehensive report) vs 要約報告書(summary report)

概要

  • 機関別評価の結果を公表するための最も一般的な形式は、総合報告書だった。
  • 機関別評価の公表数には、高いばらつきがあった。
  • 総合報告書と要約報告書は、それぞれ異なる目標を持っている。
    → 総合報告書: 評価決定の促進、および質の強化のために高等教育機関へのフィードバックを目的とする。
    → 要約報告書:一般及び公的に情報を供給すること、及び透明性の保証を目的とする。
  • 異なるステークホルダーは、異なる報告書を利用している。
  • 質保証報告書は、主に専門家集団によって執筆され、多大な業務量が必要となる。
  • 公表のメディアとしては、ウェブサイトがもっとも一般的である。
  • 大部分の機関が報告書の記述に使用可能なテンプレートを持っている。
  • 総合報告書は、通常 31ページ以上で構成される。
  • 報告書は、幅広い情報を提供し、異なる要件を述べている。
  • 質保証報告書は、国・機関によって大きく異なるが、プログラム別・機関別によっても大きく異なる。さらに、同一機関内でも、総合報告書・要約報告書によって、編集作業、構造、コンテンツ、長さ、読みやすさ、アクセシビリティなどが大幅に異なっている。
  • 質保証報告書は現状、比較可能でない。

優れた有効な質保証報告書の公表のために不可欠な質

  • 明確な構造
  • フレームワークとスタンダード・ガイドラインの導入
  • 手順や評価、チームや執筆者に関する情報
  • 高等教育機関やプログラムに関する詳細な情報
  • 適切な複雑さの低減(過度の単純化は除く)
  • 専門用語や言語の丁寧な使用
  • 分かりやすいレイアウト
  • 簡単にアクセスができること

報告書の透明性および比較可能性向上に伴うリスクと課題

  • 誤用や情報操作
  • 比較やベンチマーキング
  • 報告書の実際の目的の軽視化
  • より広い公的および一般読者の潜在的な価値及び興味の過大評価
  • 過度の単純化
  • 標準化:りんごとオレンジの比較
  • 言語問題

今後について

高等教育における質保証と、特定の政治体制によって変化するステークホルダーやオーソリティの特別なニーズの違いのため、質評価報告書の欧州共通テンプレートは合理的な提案ではないようである。しかしながら、報告書の執筆、編集、内容、構造、及びレイアウトにおける欧州の共通ガイドラインや提言は有益だと考える。
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