公立大学で、18年間におよぶ架空授業でのGPA水増し

原典①:U.S. News & World Report(英語)
原典②:The News & Observer(英語)

米国最古の大学であるノースカロライナ大学で、1993年から18年間、教員が一切関与しない授業を通じて、主にアスリート学生の成績を水増ししていた不正の全容が明らかになった。2014年10月22日、同大学が依頼したワインスタイン元国家安全保障顧問率いる外部調査団が、報告書を発表した。

その内容によると、同大学チャペルヒル校のアフリカ・アフリカ系アメリカ学部(AFAM)では、1993年から2011年の間に3,100名以上の学生に対して、教員が一切関与しない架空の科目または自主学習(individual independent study)を通して、提出された課題の出来に関わらず不当に高い評価(下表参照)が与えられていた。架空授業(paper class)は、授業への出席や教員との接触が一切求められず、わずか1回の課題提出のみで修了できた。この不正を主導したのは、当時の学生サービス部長(Student Service Manager)と学科長(Department Chairman)で、課題の採点はすべて教員ではない学生サービス部長が行っていた。この行為は主に、同大学のアスリート学生に向けて行われており、不正なGPA水増しにより卒業要件(GPA2.0以上)を充たせた者もいたと見られている。

なお、同大学に適格認定を与えている南部大学・学校協会大学委員会(SACSCOC)は、問題発覚の2011年より独自調査を実施。その結果、2013年6月の総会において、同大学への適格認定は据え置き、当面の間継続した監視を行うとの決定を下した。しかし、今回の報告書の内容を受け、SACSCOCは同校に対して2度目の調査を行うことを通知している。今後、調査結果によっては、警告、認定留保、認定取消などの制裁が科せられる可能性もある。

表:架空授業で与えられたGPA平均値

架空授業で与えられた成績の平均値は、受講者全体で3.62、アスリート学生のみでも3.55だった。
これは、学部全体の数値(それぞれ3.28と2.84)と比較して高い値を示している。
(表は報告書の内容をもとにNIAD-UE国際課が作成)
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