2024年までの大学院生モビリティ傾向の予測報告書が公表

原典:ブリティッシュ・カウンシル(英語)

ブリティッシュ・カウンシルが、2024年までの大学院生モビリティの予測と、その要因に焦点をあてた報告書を公表した。本調査では、国際的な高等教育市場としての重要性、第三次教育・大学院教育市場の規模(傾向と可能性)、及びデータの有効性に基づき、アウトバンド(outbound:海外へ学生を送り出す供給源の国)※1とインバウンド(inbound:海外から学生を受け入れる目的地の国)※2それぞれにおいて、分析対象国を選択(下記参照)。分析には、人口統計や経済等の利用可能なデータのみが用いられており、それ以外の変数は、今後モビリティに影響すると考えられるものであっても使用されていない。

※1:アウトバンド(供給源)分析対象国(23ヶ国)
カナダ、中国、フランス、ドイツ、ギリシャ、インド、インドネシア、イラン、イタリア、マレーシア、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、ポーランド、大韓民国、ロシア、サウジアラビア、スペイン、台湾、タイ、トルコ、米国、ベトナム
※2:インバウンド(目的地)分析対象国(6ヶ国)
オーストラリア、カナダ、米国、英国、ドイツ、日本

 

2024年における大学院生モビリティの主な予測

第三次教育人口と第三次教育入学者
第三次教育(tertiary-aged:18~22歳)人口と、第三次教育入学者数(大学院入学者を含む)の間には、正の相関関係がある。主な予測は以下のとおり。

  • 2024年に、最大の第三次教育人口を有する国は、インドである(1億1,900万超)。次いで中国であるが、中国は、今後10年で3,000万人の減少が予想される(2013年:1億900万人→2024年:7,900万人)。
  • 2024年に、最大の第三次教育入学者数を有する国も、インドである(4,800万人)。次いで、中国(3,700万人)、米国(2,200万人)、インドネシア(1,100万人)。
アウトバウンド(供給源)
  • 2024年の大学院生の最大の供給源は、中国(33万8千人)、次いで、インド(20万9千人)。ただし、年平均成長率は、インドが中国を上回る。
  • 大学院生モビリティのアウトバンド市場として、年平均成長が最も高い国は、ナイジェリア(+8.3%)、インド(+7.5%)、インドネシア(+7.2%)、パキスタン(+6.4%)、サウジアラビア(+5.2%)。
インバウンド(目的地)
  • 2024年の大学院生の最大の目的地は、米国(40万7千人)。次いで、英国(24万1千人)、ドイツ(11万3千人)、オーストラリア(11万2千人)。
  • 大学院生モビリティのインバウンド市場として、年平均成長率が最も高い国は、オーストラリアとカナダ(4.1%)。
  • 米国は、インバウンド市場として、年平均4%で成長する。
  • 一方、英国と日本は、成長が減速する。(英国:2007年~2012年の年平均4.1%→2024年の年平均3.5%)(日本:2007年~2012年の年平均5.4%→2024年の年平均1.6%)
下記6ヶ国に対し、2024年に大学院生を多く供給する国(供給割合が高い順)
  • オーストラリア:中国、インド、パキスタン、ベトナム、インドネシア
  • カナダ:フランス、インド、中国、米国、イラン
  • ドイツ:中国、インド、ロシア、スペイン、イタリア
  • 日本:中国、インドネシア、韓国
  • 英国:中国、ナイジェリア、インド、米国
  • 米国:中国、インド、サウジアラビア、韓国、イラン
インド・中国の学生モビリティ
インドと中国が、今後10年間の大学院生モビリティの成長を牽引する(特にインドの成長が高い)。また、アジア以外(サウジアラビア、ナイジェリアなど)も、大学院生の供給源としての重要性の増加が予測される。主な予測は以下のとおり。

  • 2024年に、英国のインバウンド市場に占める中国の割合は44%。一方、米国では、インドが54%を占める。
  • 大学院生モビリティが高い2カ国間の組み合わせ(供給源・目的地)ランキングでは、中国もしくはインドを供給源とする組合せが上位を占めている。

大学院生モビリティの成長要因

背景・動機
高等教育の「マス化(大衆化)」によって、より多くの学生が学部の資格を獲得し、大学院プログラムへの入学が可能となっている。また、下記の理由により、学士号よりも高度な学位が望まれる傾向にある。

  • 学生が、より良い雇用を希望していること
  • 政府が、より多くの有能な労働力を創出しようとしていること
  • 大学が、資金の誘致や、国際大学ランキングで上位を確保するために、研究成果を上げることのできる才能のある大学院生誘致を必要としていること
経済成長(GDP)と、第三次教育入学者数・人口の関係
経済成長と、第三次教育入学者数の成長は、相関関係にある。アウトバンドの分析対象国となっている23ヶ国全てにおいて、今後10年間のGDPの上昇が予測された。なお、アジア圏で、特に年平均成長率が高いとされた国は、中国(+6.0%)、ベトナム(+5.4%)、インド(+5.0%)、インドネシア(+4.3%)、パキスタン(+3.7%)である。
しかし、経済成長と、第三次教育人口の成長は、相関関係がない。幾つかの国(中国、台湾、韓国、ベトナム)では、経済成長に関わらず、第三次教育人口が減少し、対照的に、ナイジェリア、インド、インドネシアでは、経済成長がポジティブな影響を与え、第三次教育人口が増加すると予測された。
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