原典①:欧州高等教育アクレディテーション協会(ECA)(英語)
原典②:欧州大学協会(EUA)(英語)
外国における学修歴の素早く透明な認証手続きのために、‘Focus on Automatic Institutional Recognition’(FAIR)プロジェクトが23大学の連携のもと、実施されている。欧州委員会等の助成を受け、実施期間は、2015年1月1日から2017年4月30日までである。
本プロジェクトは、高等教育機関23機関を含む37機関で構成される。参加国はベルギー(フランドル地方)、ドイツ、イタリア、クロアチア、オランダ、スペイン等である。オランダ教育・文化・科学省がプロジェクトコーディネーターを務め、EP Nufficがプロジェクトの管理を行う。
プロジェクトの参加機関は、以下の実験(trial)を行い、自動認証(automatic recognition)※手続きの有効性を調べる。
- 事前に策定された指標をもとに、既存の資格認証手続きの点検(evaluation)を受ける。(2015年)
- 自動認証手続きを資格認証手続きに取り入れる。
- 自動認証手続きを導入した後の資格認証手続きを、上述1の指標により再点検し、自動認証手続きのインパクトについて測定する。(2016年)
欧州大学協会(EUA)が点検機関となり、自動認証手続きのインパクトの測定を行う。EUAは実験期間中、資格認証機関を指導し、アセスメントを実行する。上述3の測定の終了後、EUAは新たな資格認証手続きとそのインパクトについての概観的な報告書を作成する。当報告書には、進歩、教訓、グッドプラクティス、困難だった点を含む予定である。EUAの報告書は、欧州レベルにおける自動認証手続きを普及するための基礎として活用することとしている。
また、上記と並行して、2015年1月20日にアムステルダムで開催されたキックオフでは、23の高等教育機関による認証手続きの例が発表された。欧州高等教育アクレディテーション協会(ECA)も、今後質保証の観点から提言を行うこととしている。1年後に、6ヶ国の参加国による提言書が公表され、最終的に欧州全体に対する提言書となる。
当プロジェクトに対する予算は60万ユーロであり、うち75%は欧州委員会から助成される。また、これはErasmus+プロジェクトの一環でもあり、欧州連合からの助成も受けている。
本プロジェクトの背景としては、リスボン認証条約が外国における資格の認証を合理的な期間内に行うと規定しており、本条約には53ヶ国が批准しているにもかかわらず、資格認証手続きは素早さと透明性に欠けていたことがある。
EP-NufficのコーディネーターBas Wegewijs氏は「資格の認証が与えられない場合、学生にはあいまいな不認証の書類が送られるのみである。どうすれば学位が認証されるのかという情報はほとんど与えられない。」と述べている。この状況を改善するために、優良事例を集めたEARプロジェクトの成果が刊行されており、また今回のFAIRプロジェクトの実施に至った。
※自動認証とは、あるレベルの資格を保有する志願者が欧州高等教育圏における次のレベルの学習プログラムに入学することのできる自動的な権利につながる認証のことである。
出典: European Higher Education Area (EHEA)(2015)Report by the EHEA Pathfinder Group on Automatic Recognition(※2022年7月4日時点でリンク切れ)