MOOCの質保証―ユネスコのガイドから

原典:ユネスコ(英語)

ユネスコとCommonwealth of Learning(COL)※1は、発展途上国の政策作成者を対象とした、ムーク(MOOC)(参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト)に関するガイド「Making Sense of MOOCs―A Guide for Policy – Makers in Developing Countries」を公開した。
当ガイドは、MOOCの現状や課題、優れた点等を紹介する複数の章からなっているが、以下では、MOOCの質保証について紹介する。

MOOCの質に関する課題

  • MOOCで提供される授業は、講義形式のものが多いが、近年は多様かつ効果的な学習モデルの開発が注目されている。
  • MOOCの講座の多くは修了率が低い。しかし、受講者の全てが講座の修了を目標としているわけではないため、MOOCの質を測る方法として修了率を使うことは批判されてきた。
  • MOOCはあらゆる人々に高品質の教育を提供できると謳われているが、実際には受講者の7割以上が既に学士号以上の学位を取得しており、受講者の出身国は先進国に偏っている。

質保証の枠組み

オンライン教育に公的投資を行うためには、質保証の枠組みを策定し、質を維持していくことが必要であるとしている。本ガイドでは、E-xcellence※2とThe OpenupEd quality labelの質保証の枠組みを紹介している。

E-xcellenceの質保証の枠組み(大枠)

E-xcellenceの質保証の枠組みは、欧州遠隔教育大学協会(EADTU)※3が開発した枠組みであり、オンライン教育等の質保証のベンチマーキングのためのツールである。質保証の枠組みには、MOOCの特徴を含んではいないものの、MOOCの審査を包括する役割を持つ。

  1. 戦略的マネジメント(Strategic management)
  2. カリキュラムの設計(Curriculum design)
  3. コースの設計(Course design)
  4. コースの提供(Course delivery)
  5. 職員に対する支援(Staff support)
  6. 学生に対する支援(Student support)

The OpenupEd quality label

The OpenupEd quality label(以下、ラベル)は、機関の実績を優良事例と比較したり、MOOCの質の改善を推進するためのツールであり、E-xcellenceの質保証の枠組みであるE-xcellence frameworkから派生したものである。このラベルは、この欧州にあるOpenupEd※4と提携関係にあるMOOCの自己評価や質保証のプロセスのレビューを行うために設計されたものであるが、提携外のMOOCの質保証にも使うことも可能である。本ラベルは、機関とコースの二段階で構成されている。

機関
領域 ベンチマークの例
戦略的マネジメント 機関がeラーニングやオープン教育・オープンライセンスに関連した包括的なムークの戦略を有すること
カリキュラムデザイン MOOCの概要と主要なカリキュラムの関係性を明確にすること
コースのデザイン 一貫性を保つためにMOOCの展開や示し方の提携モデルや指針を提供すること。それらのモデルは、幅広い教授・学習方法を包含する柔軟性を持つこと
コースの提供 MOOCのプラットフォームは、採用する教育モデルにとって適当かつ、幅広いオンラインツールを提供すること
職員への支援 MOOCの職員に対して適切な支援と資源を提供し、適切に労働量を監督すること
学生への支援 コースの目的や対象、学習、課題、学習量、必須の知識を含めた、コースに関する明確かつ最新の情報を学生に提供すること
コース
知識と技能それぞれについて、学習成果に関する明確な意見を示していること
学習成果、コース内容、教授・学習戦略、課題の方法について、合理的な一貫性があること
学生が自身の学習や他者とのコミュニケーションを構築する中で、コースの活動は学生を支援するものであること
コースの内容はコースと関連性があり、正確かつ、一貫していること
コースを計画し、提供する職員は、当該分野における技能と経験について成功したことがあること
コースの構成要素はオープンライセンスであり、著作権上の問題がないこと。適切なフォーマットと基準を選んで、教材の再利用を支援すること
設計や表示、アクセスについて、コースが指針に遵守していること
コースへの積極的な参加を促すために、十分なやりとり(学生-学習プログラム間、学生間)を有すること
コースは、学生自身による評価やテスト、学生間のフィードバックを通して、定期的に学習者にフィードバックを提供すること
学習成果は、該当する資格の段階に対して適当なレベルであって、学期ごとの測定と修了時の測定をバランスよく組み合わせて行うこと
審査は明確かつ、公平、有効かつ信頼できるものであること。資格のレベルに対して適切な措置をとることにより、詐称や剽窃に対処すること
コースの教材は利害関係者のフィードバックを踏まえて、見直し、更新を行い、改善されること

※1Commonwealth of Learning(COL):政府間で組織された団体で、オープン学習や遠隔教育の発展を促進し、関連する知識や資源、技術を共有する
※2E-xcellence:主に各国で通信教育を提供している大学が参加しているeラーニングに関する団体
※3EADTU(欧州遠隔教育大学協会):European Association for Distance Teaching Universities
※4OpenupEd:エラスムス+プログラムのもと、欧州委員会、DG EACの支援を受けてMOOCを提供するプロジェクト

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