原典:研究・高等教育評価高等審議会(HCERES)(フランス語)
研究・高等教育評価高等審議会(HCERES)は、2016年6月に、中期計画書「PLAN STRATÉGIQUE 2016-2020」を公開した。当計画書は、以下に掲げる9つの戦略を中心に展開されており、それぞれの戦略には2020年までの目標や目標達成のための工程、モニタリングの指標が定められている。
9つの戦略及びそれぞれの目標は以下のとおり。
1. HCERESによる被評価機関への貢献強化
- 理事会において評価憲章を調整・決定
- 評価活動を行う前に、被評価機関を対象に相談会を実施
- 評価活動終了ごとに満足度調査を実施
2. 倫理的で質の高い評価の促進及びピアレビューシステムの統合
- 倫理的原則を保証するための評価システムの体系化
- 男女平等を重視した評価者(学術分野の代表者・専門委員)の採用プロセスを理事会において検証・正式決定
- HCERES職員や評価者の評価へと繋がる、評価や質保証に関する研修の実施
- フランス以外の国の評価機関から派遣された評価者のための研修システムの構築
3. HCERESの独立性の確立及び関係機関におけるHCERESの立場の明確化
- 高等教育・研究活動における評価システム改変に係る提案のため、年2回の意見交換の場の設置
- 評価の重複を避けるため、他の評価機関の評価活動範囲の明確化
- HCERESの活動の発展のためのビジネスモデルの改善
- 関係機関からの出向者に対する人件費の保証
4. 学術共同体の評価を含めた総合評価の実施
- 評価前に実施する学術共同体の関係機関との意見交換の強化
- siteの評価を含めた総合評価に適する各評価プロセスの改善
- 関係省と学術共同体の関係機関間の契約交渉の際の参考材料になりうる総合評価方法の開発
- 総合評価実施に際して科学技術観測所(以下、OST※1)の科学分野等の戦略的調査・分析結果の活用
※1:科学技術観測所(OST)・・・1990年に設立した、研究開発等を行う公共利益団体。2015年1月にHCERESと統合した。
5. 他の評価機関が行う評価の検証
- 他の評価機関が行う評価の検証方法の改善
6. 評価プロセスの簡素化
- 被評価機関等の関係機関との意見交換により、研究ユニット評価及びプログラム別評価の評価プロセスを改訂
7. 欧州および国際レベルでの知名度の向上
- 欧州高等教育質保証協会(ENQA)及び欧州高等教育アクレディテーション協会(ECA)のワーキンググループに参加、管理運営に従事
- FRAQ-SUPネットワーク※2に積極的に貢献
- 共同評価の実施や評価者交流により、欧州の評価機関との連携深化
- フランスにおける評価モデルの改善のため、他の評価機関や教育省、外務省と意見交換を実施
- 欧州の評価機関との連携による、他国の研究機関やフランス語の教育プログラムに対する評価活動の発展
- QACHE(参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト)※3の最終成果物であるツールキットに従い、外国に輸出するフランスの高等教育の質を保証
- ベンチマークを増やすため、国外において比較測定を行い、HCERES内で普及
※2:FRAQ-SUPネットワーク・・・2014年4月に設立した、フランス語圏の高等教育分野における質保証ネットワーク。現在のネットワーク参加機関として、AAQ、AEQES、CTI、HCERES、ANAQ-SUP、CEECが挙げられる。
※3:QACHE・・・ENQAを中心に、欧州、オーストラリアの質保証機関、およびアラブとアジア・太平洋地域の質保証機関ネットワークが参画するプロジェクト。欧州等の大学が行う国境を越えた高等教育(CBHE: cross-border higher education)に対して、統一した質保証アプローチを模索し、世界中に普及しようという目的を持つ。2015年11月に、プロジェクトの最終成果物として質保証機関向けのツールキットがまとめられ、報告書が発表された。
8.OSTの最大限の活用
- OSTの戦略的調査・分析結果を評価活動に活用
- 総合評価を行う部署において、OSTが持つ有効な指標を活用
- 最高水準の調査・分析の実施
- OSTのスキルを活用し、評価者の評価活動を支援
9. 学術共同体の評価を含めた総合評価実施に即した内部組織体制整備
- 総合評価実施のための予算や人材等、内部組織体制の構築
- HCERESのミッション達成のため、また、全ての部署の内部質保証システムの構築支援のための情報システムの整備