APQNがAPQR(質保証機関登録簿制度)の公式ウェブサイトを開設

アジア太平洋質保証ネットワーク(以下APQN)が、2015年から開始された質保証機関登録簿制度(以下APQR)の公式ウェブサイト(英語)を開設した。

1.APQR(Asia Pacific Quality Register)とは

APQRとは、欧州でボローニャプロセスを経て成立したEQAR(欧州高等教育質保証機関登録簿)を参考に作成された、アジア太平洋地域に所在する外部質保証機関のための登録簿である。2012年に開催されたAPQN年次総会においてAPQR設立の提案がなされ、同年6月から約3年間、スリランカの質保証機関であるQAAC(質保証・アクレディテーション審議会)に対してAPQRのパイロットレビューを実施し、2015年1月に正式にAPQRの取組みが開始された。なお、同年にAPQRの登録審査を経て、フィジーの質保証機関であるFHEC(フィジー高等教育委員会)が第1号の登録機関となった。また、APQRに登録された質保証機関は、APQNの協力を得て、海外の高等教育機関やプログラムを評価することが出来る。

2.基準及びレビュープロセス

APQRの基準は、千葉原則※1とAPQN憲章をもとに作成されており、11の基準から成る。登録審査では、基準ごとに4段階(fully, substantially, partially or non‐compliant)で判定され、登録のためにはfully compliant又はsubstantially compliantの判定を受ける必要がある。レビューの方法については、APQR審議会によるレビュー又はAPQNと他の質保証機関による共同レビューのいずれかを登録希望機関が選択できる。なお、登録期限は5年。評価にかかる基本的な経費は、諸経費5,000$(US)、評価者(3名)3,000$の計8,000$となっており、このほか訪問調査にかかる移動費や宿泊費も登録希望機関が負担する。

基準

基準 説明
組織の種類 APQNの正会員又は関係国/地域において権威ある機関により認証された機関であること。また、ステークホルダーへの説明責任があること。
運営 機関又はプログラムレベルにおける質保証活動を周期的に実施していること。
使命、目標 ステークホルダーにより使命及び目標が一貫して理解されていること。
職員、評価者 機関の職員及び外部評価者の能力や略歴が機関の使命と合致していること。
独立性 質保証活動に自律的な責任を有し、第三者により報告書等の内容を変更され得ないこと。
リソース 使命及び目標に沿った活動を実施する十分なリソースを有すること。
プロセス及び基準 質保証活動におけるプロセス及び基準が透明性を有し、公表されていること。また、プロセスの中に自己評価、訪問調査、報告書の公表が含まれ、フォローアップを実施していること。
意見申立て 意見申立てのプロセスを有すること。
質保証 定期的な検証を行い、自機関の質保証を行っていること。
モニタリング、評価 内部質保証や外部質保証の研究を行い、高等教育機関に対して情報提供や助言が可能であること。
他機関との連携 他機関や主要な関係者と国境を越えた協力や共同事業を行っていること。

APQR審議会によるレビュープロセス

  1. 登録希望機関による関心表明(EoI)の提出
  2. APQR審議会による登録希望機関の適格性の判断・受理
  3. 登録希望機関による自己評価書の作成
  4. APQR評価者による自己評価書の書面調査
  5. APQR評価者による訪問調査
  6. APQR評価者による外部評価報告書の作成及び登録希望機関による報告書の承認
  7. APQR審議会による最終評価報告書の作成及び公表

3.公式ウェブサイトの役割

APQRの公式ウェブサイトでは、EQARの公式ウェブサイトと同様、レビューを受け承認された質保証機関のリストやその証明書の閲覧が可能であるほか、上記基準や必要書類のフォーマットが掲載されている。その他、ニュースやAPQR審議会のメンバーの構成等の閲覧が可能である。

※1 千葉原則…2008年に千葉県で開催されたAPQN年次総会にて採択された「アジア太平洋地域のための高等教育の質保証の原則」の通称。

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