NICがステークホルダー調査、対外的な関係強化に課題

出典:UK NARIC
報告書:Final Report

NICとステークホルダーとの関係性をまとめた調査の報告書

ステークホルダーとの関係強化に向けた4つの提言を公開

NICの役割は好意的に受け止められている

具体的な連携はこれから


外国から学生をスムースに受け入れるため、欧州地域では各国にNIC(ナショナルインフォメーションセンター)*1が置かれている。このうちの6センターが参加したCHARONA IIプロジェクト*2が2年間の活動を終え、NICとステークホルダーとの関係強化へ向けた4つの提言を公表した(下記参照)。提言の中では、高等教育の質保証機関との連携強化も掲げられており、連携意義の明文化や草の根レベルから政策レベルまでの幅広い協力が呼びかけられている。

*1NIC:外国の中等教育・高等教育資格の認証に関する当該国の政策や認証の実務に関する情報、当該国の教育制度、留学や流動性に関する情報を提供する機関。欧州地域では、ユネスコが取り組むリスボン認証条約を批准した国はNICの設置が義務となっており、これまで55ヶ国に57センターが置かれている。他の地域でも、アジア太平洋地域とアフリカ地域の条約では同様の取り決めがある。
*2CHARONA II:正式名称はThe Changing Role of NARICs: Stakeholder Perspective。欧州委員会からの助成を受け、2014年から2016年の間に実施されたNICのステークホルダーに対する役割を調査するプロジェクト。参加したのはイギリス(プロジェクトリーダー)、クロアチア、デンマーク、アイルランド、オランダ、ノルウェーの6ヶ国のNIC
CHARONA IIからの提言
  1. NICの各センターとネットワークの立ち位置を明確にし、その役割や専門性がステークホルダーに充分に理解されるようにする
  2. NICの各センターとネットワークの世界的な存在感を高め、欧州内外の他の資格認証ネットワーク*3やセンターとの連携を強化する
  3. 政策立案に対して、特に国家資格枠組み、欧州資格枠組み(EQF)、質保証、国際化の面で関与を強める
  4. 多様なステークホルダー(高等教育機関、質保証機関、ボローニャフォローアップグループ、EQFアドバイザリーグループ、職業資格認証のアシスタンスセンターとコーディネート機関)との関係を改善し、連携を強化する
*3資格認証ネットワーク:リスボン認証条約批准国間のNICネットワークはENIC-NARICネットワークと呼ばれている。この他には、地中海地域のネットワークであるMERICや北欧地域のネットワークであるNORRICなどが存在する。

CHARONA IIでは、世界138ヶ国のステークホルダーから得たアンケート調査の回答と、プロジェクトに参加した6ヶ国の国内調査の報告を分析した。その結果、NICの各センターとネットワークはその存在があまり知られていないことが分かった。一方で、ステークホルダーはNICやそのネットワークの役割を好意的に受け止めていることも明らかになり、NICとの今後の連携を希望する声も多かった。

質保証機関との関係では、イギリスでのUK NARIC (NIC)と高等教育質保証機構(QAA:質保証機関)との連携が事例として取り上げられた(下記参照)。また、クロアチアでNICと質保証機関の双方の役割を担っているASHEは、「資格認証は教育制度、とりわけ(教育の)質と質保証制度への信頼を基に成立している」という事実から、質保証と資格認証が密接に関わる点を指摘した。

さらに、報告書では質保証機関とNICの今後の連携可能性にも言及があった。ここでは、質保証手順に関わる原則やガイドライン、あるいは外国資格の適切な評価に関するプロジェクトなどによる協力が提起された。

イギリスの事例(QAAからの回答)

現在の関係性

  • QAAはUK NARICのQuality and Standards Groupに参画
  • UK NARICはQAAが運営する、複数の機関によって授与された資格に関する助言グループに参画
  • QAAとUK NARICは互いの専門性が必要となる場合に意見交換を実施

今後の可能性

  • QAAによるUK NARICへの協力や定期的な意見交換
  • NICネットワークを通し、QAAと他のNICとの関係構築
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