原典: EP-Nuffic(英語)
2016年11月、オランダEP-Nufficは国内大学と協力して、入学資格の証明書類を持たない難民に対する入学審査手続きを高等教育機関が確立するためのツールキット(オランダ語)を開発した。
オランダではリスボン認証条約(参照:NIAD-QE国際連携ウェブサイト)に従って※1、国内法により、志願者の既習状況が証明できない難民の高等教育への入学を認めている。高等教育機関は各機関の裁量で入学選抜の方法を決定できるものの、選抜方法は各機関の規則に定めなければならない。現状では、入学資格を証明するものの書類を持たない難民の入学審査は多くの機関において手続きが確立していないことから、同ツールキットは高等教育機関が難民の入学資格審査の手続きを確立する上で役に立つとされる。ツールキットは下記の項目により構成される。
・欧州域内及びオランダ国内法に関する説明
・入学資格審査の手続きのフローチャート
・アドミッション・オフィスによる面接
・教員(technical expert)による面接
ツールキットでは入学資格の証明書類を持たない難民の入学審査に対して、大学側が独自の選抜方法や試験を設けるなどして、柔軟に対応するよう示し、志願者の既習歴等を判断する際に入学審査の担当者や教員を支援するための面接のフォーマットを提供している。またツールキットによれば、必要に応じてオランダの統一試験を志願者に対して課すこともできるという。
なお、資格証明書類を持たない難民の資格審査の取組に関する他の事例は、ノルウェーの「難民のための資格パスポート構想」がある(本サイト2015/12/17投稿記事)。一方、2017年9月からシリア難民を受け入れる日本国内の大学院は受入れにあたって大学の卒業証明書と成績証明書の提出を必須としている(本サイト投稿記事2017/1/18投稿記事)。
※1
リスボン認証条約では、批准国に対し、難民などの者が証明書類を保持していない場合でも、高等教育への進学や就職のための制度を自国の中に設けられるように整備することを求めている(セクションⅦ)
※2
学生が修士課程での学習を希望する場合、専門家が追加的に面接を実施することがツールキットでは推奨されている。